過去の束縛と贖罪の悪魔
虚無~うつな~
第0話 縛られた2人の邂逅
「は〜、今日もアルバイト疲れたなぁ。」
私はただアルバイトで働く恋する乙女…なんて、そんなたいそうなものじゃない。きっかけは小さい頃に父親に様々な拷問や性交を強引にされ、孤児院へ引き取られた過去にある。その時は極度の男性恐怖症だった。しかし、空き部屋の関係で私のルームメイトは男性だった。彼は私を気遣っているのかいつも話さず本ばかり読んでいた。私は男性を怖がっていたが、どこか不思議で冷静な彼に徐々に惹かれていった。ある時、私は勇気を出して彼に問いかけた。
「あなたは私に何の気持ちもないの?邪魔だったら邪魔って言っていいよ。」
でも、彼は本に目を通しながら答えた。
「別にお前が邪魔なんて思ってもいない。むしろ俺の方がお前の邪魔をしていると思うが…。」
彼は私が男性恐怖症なのを分かっているかのように答えた。私は父のような男しか知らなかった。男は誰もが女を束縛し、欲を満たすだけの獣のように見ていた。でも、彼は私の自由をも考えて優しく接してくれた。あぁ、みんな彼のような人だったら…と思ってしまう。そんな私は彼と共に孤児院を出て着いて行った。彼は私の中の希望。でも、彼は…
「はぁ〜。またこんな妄想を…。私にも欲しいかな。彼を変えたあんな存在。」
そんなことを考えながら帰路につく。
私は気がつくと不思議と暗い路地裏にいた。
「へ?いつの間にこんな所に?」
薄暗い中、私は進んで行った。すると悲鳴が聞こえた。とりあえず関わりたくはなかったが、興味本位で足が動き出す。
少し進むと生臭い臭いが立ち込めていた。そして角を曲がるとそこには血まみれで座り込む少女がいた。彼女は長い黒髪に赤と黒の眼、そしてマントを身につけていた。何故か彼女の雰囲気はとても不思議な感じがする。普通なら恐怖と言うべきか、でも私の過去は彼女を救いたがっている。
「あの?あなたどうしたの?」
彼女は少し俯き笑みを浮かべながらこう言った。
「あなたは悪い人?」
その彼女の姿はすごく抑圧的で、命の危機すら覚えた。
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