第160話 よくある話

誕生日の一日前の真夜中に首を吊った

遺言はなく 後には冷たい身体だけ

崩れ落ちることしかできなかった


道に迷うには見通しの良い場所で

衛星からの信号を受信して

歩いた軌跡を世の中に残しておく


誰に向けて呟くのか

誰に宛てて届けるのか

明確にはしないまま


思い上がりだとしても

考えずにはいられない

何かあるんじゃないかって


よくある話だと思って聞いて欲しい

それは現実にあったことで

多分本当にあったことなんだ


よくある話だと思って流して欲しい

それは確かにあったことで

多分本当にあったことなんだ

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