第107話 忘れるには

次の季節を迎えるたびに

あの日の記憶は薄れてゆく

不自然な模様を彫りこんでも

顔をナイフで切り刻んでも やがて


なぜ どうして わからない


はじめて悲しみ涙した

あの日の記憶は薄れてゆく

血の色に永久の誓いをたてても

思いをぶつけた記憶でさえも やがて

なぜ どうして わからない


過ぎ去った日の記憶は忘れて今を生きればいい

今これほどつらい言葉もないよ


次の季節を迎えるたびに

あの日の記憶は薄れてゆく

飾られていた花の香りや色も

全てであったその目や声も


なぜ どうして わからない


過ぎ去った日の記憶は忘れて今を生きればいい

今これほどつらい言葉もないよ


なぜ どうして わからない


このまま全てが消えゆくのを待つだけなのかい

時間は大切にしまった風も運んでいくよ

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