第76話 一瞬の永遠

ざらついた言葉を右手にムチを左手に

じわりじわり追いつめてくる

白いシャツを引き破りたい

どうして一瞬はすぐに終わるのか

時間は過ぎてゆく 意識を連れ去りながら

暗闇だけはいてもいい それはすべて

終わりが近づいて 低いうめき声

夢を見ていた

くもった両眼と掌で


箱に押し込めた赤児のように闇雲に

忘れ去ってしまいたいこと

歩いていける距離にある

どうして一瞬はすぐに終わるのか

独り言ばかり つぶやいてるだけなら

今とは違う今のはず こうして今

終わりが近づいて 低いうめき声

夢を見ていた

くもった両眼と掌で


何かをやりのこしているはず 何でもいい

思いつきさえ浮かばない夜

振り返らずにすむように

どうして一瞬はすぐに終わるのか

呼吸する間に 次から次へと来るし

いつだって酸素は薄い もがきながら

終わりが近づいて 低いうめき声

夢を見ている

くもった両眼と掌で

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る