第53話うちのお姫様ですが??

ぱあ。習い事の発表会で上級生なので様々なことに駆り出されまるで時間がなかったので全然更新できてませんでした。ごめんなさいでしゅ~(突然のハトプリぽ〇り口調)これからは更新できるでしょう。以上、道路交通情〇センターでした。


――――――――――――――――――


「んー、とりあえず雑貨屋さん行こうか? おすすめのお店教えてあげる」


少女はそう言ってゼルディランの軍服の袖を握った。

そして、ん? と呟きながらその手を離した。


「よく見たら軍服だ。君騎士団の人?」


「う、うん」


どうやら今の今まで彼が軍服を着ていることに気がついていなかったようだ。

感心したように上から下まで彼を眺めると、彼女は笑った。


「こんなにちっちゃいのに騎士様なんてかっこいいじゃん。大変なんだろうけど」


「ありがとう」


そう返事をしながら彼は少し面白そうな顔をした。

大変は大変だが彼女が想像しているのは実戦だろう。

彼は作戦を立てたり指示したりする側だから、滅多に戦わない。

それを知らない彼女がなんとなくおかしかったのだ。

ディアネスの出身でないのだから仕方がない。


「よし、行こっか」


再び彼女はゼルディランの手を取ると、街の中心に向かって歩き出した。



「そうだ少年、せっかくここに来たんだからさ、後でお城に行ってみたら?」


歩きながら少女が王城を指す。


「忙しくなかったら国王様に会えるよ」


「え、入っていいの……?」


あまりにも驚いたのか、ぽかんとした顔でゼルディランは聞き返した。

王城は一般人が入れるところではない。

彼は使者としてきているのだからもちろん入れるのだが、おそらくこの少女の話では一般人も普通に入れて、挙句国王に会えると言うのだ。

だが少女はそれが普通で育ってきたのだから気がつくはずもなく。


「そー、なかなか自分から出向けないからみんなが来てくれると嬉しいって、王城は解放されてるんだ。ちなみに国王様が忙しかったら王妃様か王子様が来てくれるよ。この国の人じゃない人は念の為持ち物検査されるけど、荷物そこで預けたらそれで終わりだし」


「へ、へえ、結構ゆるいんだね」


ゼルディランからはもうそんな言葉しか出てこなかった。

こんなことディアネス王宮でやったらどうなることやら。

聖妃様が倒れる回数が増える……と思わず思ってしまった。

というかよく考えたら彼女はこの国の王女なのだ。

だからあんなにお人好しの塊なのか、と彼は一人で納得した。


「あ、騎士団員ってことは君、お姫様にあったことあるの?」


王族の話をしたからか、少女はゼルディランにそう尋ねた。

お姫様。お姫様。ああ、聖妃様のことか。

数秒かかって質問を理解する。


「うん、よくお見かけするよ」


「そっか〜! どんな感じだった? 元気だった? この前会ったのが一年ぐらい前だからさ」


一年前。

といえば、レイとミーナが結婚した時か。

合点がいって彼は少女を見上げる。


「お変わりないよ。最近思い出したんだけど、もうこちらにいらして結構たつからか意外と面白い方だなって思ってる」


「おやおやあ、まだまだうちの国にいた時間の方が長いのに言ってくれるじゃないの?」


くすくすと少女は笑った。

分かっていたけれど、ゼルディランは少し驚いた。

きっと彼女はシェレネに会ったことなどほとんどないはずなのに。

というかちらりと見かけたぐらいだと思うのに。

この少女、いやこの国の民は、無を浮かべる感情のない少女を恐れない。


「やっぱりここはいいところだね」


世界を包み込んでくれそうだ。

彼は小さな小さな声で、そう呟いた。



「じゃあね、少年。また会えたらいいけど」


謁見の時刻が近づいてきたので、ゼルディランは少女に別れを告げる。

たった数時間しか一緒にいなかったのに、まるで姉でもできた気分だ。


「うん。僕この国が気に入ったよ。だからきっと、何度も足を運んでしまうと思うな」


心地よい風にハニーブラウンの髪を揺らしながら、彼は遠くの山を見据えた。


「ねえ」


さよならを言って目的の場所へと歩き始めた彼に、少女は声をかける。


「名前、なんて言うの?」


あまりにも今更だけれど、重要なこと。

愉快気な笑顔を浮かべて少女はゼルディランに尋ねる。

彼は、小さく彼女を振り返って笑みを浮かべた。


「僕の名前は、ゼルディランだよ」


――――――――――――――――――


前書きで茶番しました。次回の更新予定は九月五日です。


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