第16話レスト公爵令嬢のクリスティンと闇の森の神王妃のジュリア
「お兄様お兄様!」
「どうかしたのかい、フィオーナ。」
「あのねあのね、」
フィオーナが無邪気に話し出す。
「レスト公爵家のご令嬢ね、絶世の美少女なんだって!」
「ふーん、そうなんだね。」
エルウィンは不適そうに笑った。
「それならこの
「今日もいいお天気ね~」
「ねー!」
お昼休み。
アランドルとジャンは城から少し離れた闇の森に戻ってきていた。
ニコニコと笑いながら話しているのはクリスティンとルールーリア。
全員で昼食を取りながら、一家団欒を楽しんでいる。
「あのヒューベル王国の王女どもが邪魔で邪魔で……」
「確かクロフォードお兄様とオーロラのところにも来てたよね~」
「国王陛下のところにも来てたそうだよ。おとといなんか政務室に勝手に入ってきたフィオーナ王女がこけかけて陛下が受け止めた時、聖妃様が政務室にいらっしゃってそのまま半日塔にこもってたらしい。」
「シェレネ様が⁉なんてひどいことするの!?」
クリスティンが憤りを見せた。
「陛下も早く国に帰したいところらしいが兄がいる限りなかなか難しいそうだ……」
「うーん、やらかしてほしくはないのでさっさと自分たちで帰ってほしいところですねぇ……」
その後少し喋ると、アランドルとジャンは仕事のため城へ帰っていった。
「お兄様!図書館に最新の貴族の方々の子息令嬢が載っている本あったよ!」
「ありがとうフィオーナ、フィアリエ。」
エルウィンはその本を受け取ると、ページをめくった。
一番最初に出てきたのはレスト公爵家。
爵位や地位が同じ貴族は子息令嬢の多い順に掲載されている。
公爵家で一番子供が多いのはレスト公爵家なので、一番最初なのだ。
いくら最新版とはいえクロフォードが公爵になったのは最近なので、クロフォードの名も載っている。
たぶん、すべての家が代替わりするまでこのままだろう。
「えーっと、レスト公爵令嬢は……」
2、3ページめくった先で、エルウィンは手を止めた。
「ふーん、この子がクリスティン嬢……やっぱりボクには追いつかないねぇ……」
絵姿の彼女はあどけない笑みを浮かべた絶世の美少女だった。
その容姿だけを見ても、はるかにエルウィンより上なのは一目瞭然である。
だが彼は自分が一番だと思っているのだ。
はたしてそれは良い事なのかそうでもないのか……
「私もお兄様のほうがかっこいいとおもうー!」
「私もー!」
本気で思っているのかは分からないが、フィオーナとフィアリエも賛同の声を上げた。
「でもー、こんな人がお姉さまだったらもっといい感じにお兄様が際立って見えると思うよ!」
「わー、エルウィン王子って素敵ねって!」
「君たちもそう思うかい?ありがとうフィオーナ、フィアリエ。」
満足そうな微笑みを見せ、エルウィン鏡を見た。
「今日も美しいね。このボクは。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます