1LDKの発展

1ヶ月後。

配達員もマシーンが出迎えることに慣れた頃、一つの異変が起こった。どうも、一階のエントランスから配達を知らせるのは人の様だが、そこから運んでくるのにえらく時間がかかる。気になって配達員が来る際にエレベーターまで覗きに行ってみると、なんと配達物をこちらのマシーンに載せているのもまた別のマシーンではないか。

随分ぎこちない動きでおっかなびっくり配達物を移し替えている。まだ重たい物は動かせない様子だ。

どうやら配達会社側も人力ではなく、感染を恐れてマシーンの活用を推進していっている様だ。


同じ様に暇を持て余した理系のエンジニアが、さまざまな発明をし、ブログで公開することが流行ってきた様子だ。

室内で簡単に運動できるルームランナーや、勝手に家族全員の体温を計測したり健康管理してくれるスピーカー型AIなど、DIYで難しい物は販売する形でどんどん新しい世界に順応した製品が出始めた。

また、巷で暇を持て余したエンジニアたちによって更なる改良案がブログで公開されていき、どんどん短期間で性能が上がっていくループが出来ている。


1ヶ月後、いつもの様にベランダでタバコを吸っていたら、一台のドローンが近づいてきて、軽い荷物をベランダに落としていった。受け取ったかどうか、後日メールが来て確認する運用になっており、逆に手間が増えたのではと内心笑っていたら、これもすぐに改良が施され、ドローンに手をかざしたら指紋で本人確認できる様になった。たしかにドローンが鳥に混じって空を数台飛んでいるのが見える。人が動く代わりにマシーンが動き続けている様だ。

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