1LDKの発明

2週間後。

「ちゃんと動いてくれるかな、、、」


俺はルンバを改良した配膳マシーンを最終チェックしていた。

要は、ルンバの上に物を置ける台を取り付けて、ホテルのルームサービスを運んでくるトレーの小さいような物を開発したのだ。モーターも強化してるので、ウーバーイーツの配達ぐらいが一人前乗ったところでびくともしない。


電子音が鳴る、下に配達が来たのだ。解錠し6階に招き入れる。

「よし、動け!」

部屋の玄関からエレベーターまでの位置は既に学習させていた。スムーズにマシーンはエレベーターの前まで移動し、配達員を待ち構える。

程なくして、エレベーターが開いて、配達員が出てきた。


一緒、キョトンとした表情を浮かべた金髪の配達員。そんなこともあろうかと、すかさずつけておいたトランシーバーから、

「あ、ここの台の上に置いてください。」

というと、怪訝な表情を浮かべながら、おずおずと食事を置いて、そのままエレベーターで下がって行った。


マシーンはそこから回転し、部屋の玄関まで戻ってきた。カレーは良い匂いを出しているが、内容物はこぼしていない。ただ、モーター音がやはり大きく、ご近所さんからクレームが来ないかだけが心配だ。


「よし、まずまずな出来だな。」

カレーが冷めていたのはマシーンのせいではなく、遠いカレー屋を頼んでしまったからだろう。

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