1LDKの未来

@Masa0112

1LDKの暮らし

世界はその春突然小さくなった。

未知のウイルスへの恐怖から、人々は行動範囲が制限され、不要不急の外出は出来なくなり、家に篭って日々を過ごす。


東京は文京区の下町地区、所謂谷根千の根の地域の坂の上、大通りを一本入ったアパートの6階。50平米を切るワンルーム、そのベランダ、そこが俺の喫煙室。坂の上だけあって、眺めは上々。いつもなら大通りに忙しなく歩く人々が見えるが、いまはソーシャルディスタンスを保ちながらパラパラとまばらに歩いている。少し遠くにはスカイツリーが我が物顔で立っている。


研究所での仕事は不要不急に分類されるらしく、在宅勤務は直ぐに始まった。

かと言って、家に研究設備があるわけもなく、なんちゃっての仕事しか出来ない。また、このご時世でそもそも研究に金が回るわけもなく、仕事自体がない。


「ひまだ」

ベランダから空に話しかける。午後1時半。自炊したカルボナーラはベチャベチャしてて、半分残して捨てた。

ウーバーイーツも、なんとなく配達員が入ってくることが億劫だった。もし彼らが例のウイルスを持っていたら終わりである。

「、、、なら、作るか。」

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