第1704話 規格外の妖魔召士
「やれやれ……。まさか『魔』の研鑽をそこまで行っていない悟獄丸にここまで手を煩わされるとは思わなかったな」
シギンはソフィ達の世界では『
今回の悟獄丸との戦闘は、終始に渡ってシギンが圧倒していたが、これは『魔』の知識に差がある以上は当然の事であった。
悟獄丸は『
対してシギンは一方的にあらゆる『魔』の力を行使して、悟獄丸が取ろうとする戦術に付き合わずに立ち回ったのだから、この結果は当然といえば当然であった。
しかしこの勝利の結果はシギンだからこそ行えた事であって、これがもしイダラマといった他の妖魔召士が『魔』の技法を用いて戦っていたとしても『透過』で上手く立ち回られてやられてしまっていただろう。
悟獄丸の『透過』技法の到達点は、神斗の『魔力』に干渉する領域にまで届いてはいないが、それでもイダラマの『
つまりイダラマに劣る『最上位妖魔召士』程度であれば、いくら『捉術』や『魔』の概念が伴った技法を行使したとしてもシギンのように完封させる事は出来なかった筈である。
そもそも『青』と『金色』の『二色の併用』を纏っていた悟獄丸のような、ランク『10』の妖魔が全力で殺気を放ってしまえば、もはや戦闘に入るどころの騒ぎではなかっただろう。
…………
「ん?
悟獄丸を消し去ったシギンの元に数体の『妖魔』が出現を始めた。
唐突に現れた妖魔達はそれぞれが別の種族のようで、そのどの妖魔も異形の姿をしていた。
「これまで王琳の客だと静観していたが、悟獄丸様に手を掛けた以上は我らも黙ってはおれぬ」
どうやらこの場に現れた妖魔達は、悟獄丸がやられた事で我慢ならずに『シギン』を自らの手で葬ろうと現れた様子であった。
「ほう? あんな性格であっても存外に悟獄丸の奴も慕われていたというわけか……。だが、この山に居る者達は弱肉強食の世界に居る者達だと勝手に思っていたが、やはり自分達の主がやられる事には我慢がならないと考えていたという事か」
シギンが彼らに聴こえるように少し大きな声でそう告げると、異形の『妖魔』達は一斉に『青』のオーラを纏い始めた。どうやらこの場に居る者達も全員が、鮮やかな『青』を扱う事の出来るランク『9』以上の存在で間違いないらしい。
「後悔をさせてやるぞ、人間!」
シギンの言葉には肯定も否定をすることなく異形の存在達は、一斉に通常状態に戻っているシギンに襲い掛かっていった。
――だが、次の瞬間。
シギンの間合いに入った瞬間に、唐突に異形の妖魔達全員の首が胴体から離れた。
「「――」」
驚愕する表情を浮かべる異形の妖魔達に向けて、シギンが笑みを向けると――。
その襲ってきた異形の妖魔達その全員の首、胴、手、足が、寸分違わずにコマ切れにされるのだった。
――シギンが行ったのは、僅かに右手を上げただけである。
ただ、それだけで戦力値が兆を超えているであろう、複数の『禁止区域』に存在する『妖魔』達は、その生命を強制的に終えさせられた。
「襲ってくるのならば、
冷酷な視線をバラバラになった異形の妖魔達に向けた後、シゲンはそう告げるのだった。
このあっさりとシギンにやられてしまった妖魔達でさえ、かつては中腹付近に根城を構えていた『
――だが、そんな高ランクの妖魔達でさえ、妖魔召士シギンが相手となればこの通りである。
結局のところは妖魔召士シギンという、
コウエンやイダラマ、そしてゲンロクやヒュウガといった、時代時代の『最上位妖魔召士』達が口を揃えてシギンを『
「さて、それじゃイダラマ達の元へ行くとしようか」
バラバラになった妖魔達の亡骸を全て『
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