第1272話 サノスケを魅了する、ヒノエの身体

「お前が話したことを全て鵜呑みにしたわけじゃないが、ひとまずヒュウガ殿がケイノトにある『退魔組』に向かう理由としてサテツ殿だけじゃなく、そのイツキって退魔士も関係があるということは理解した」


 ヒノエはイツキが纏うオーラのことについても気に掛かってはいるが、それはまた本部に報告を行う際にもっとオーラの技法に詳しいミスズやシゲンに尋ねればいいだろうと考えて、とりあえずは今回の旅籠町襲撃の一件の事実確認を終えたことで落着を良しとするのだった。


「あ、ああ……、役に立てたようで何よりだ」


 サノスケはまだ約束を反故にされないかと少しだけ懸念を抱いてはいるようだが、ヒノエが満足そうな顔を浮かべた事でひとまずは落ち着きを取り戻していた。


「そういやお前さ、さっきもう一つ気になることいってたよな? 確か奴らの狙いは『退魔組』だけじゃなくて、まだ他にも行こうとしている場所があるとかどうとか」


 ヒノエに問われたサノスケは、屯所の牢の中でヒュウガが一派との会話中に出していた『加護の森』のことも合わせて告げるのだった。


「なるほど。そっちの情報は確かそうだな。奴らは『退魔組』と合流を果たした後、そのまま『加護の森』で合流を果たして、そこから自分達の根城へ移動しようって肚だろうな」


 最後に有意義な情報を得られたヒノエはにやりと笑みを浮かべるのだった。


「な、なぁ? こ、ここまで協力して色々と秘密を喋ったんだ。約束は守ってくれるよな?」


 サノスケは期待と興奮に満ちた目をしながらヒノエにそう告げる。


「ああ。約束通りにお前をこの屯所から解放してやるよ」


「そ、そっちじゃねぇよ! お、お前と……」


 他のヒノエの組員や予備群の『キイチ』はそこまで口にしたサノスケに対して冷やかな視線を向けた。


「ふっ、そんな情けない顔すんなよ。まずは情報を確かめる事が優先だ。お前との約束はヒュウガ達を捕縛したあとにちゃんと果たしてやるからよ」


「ほ、本当だろうな……! ていのいいこと言ってそのまま逃げたら承知しねぇぞ!」


 サノスケは立ち上がりながら必死にそう告げる。


「ちっ……!」


 相手が妖魔退魔師の組長ということを忘れたように勢いよく吠えるサノスケに、周囲に居た者達が殺気立つのを感じたヒノエは舌打ちをしながら立ち上がると、そのままサノスケの前まで歩いていく。


「なっ、何だよ!」


 自分よりも背丈があるヒノエが急に真顔で迫って来た為に、サノスケは焦って後退ろうとするがそんな彼の手を強引に掴むと自分の胸元に持っていった。


 むにゅっとした柔らかい感触を感じたサノスケは、驚いて自分の手の先にあるヒノエの豊満な胸を見る。


「……ひとまずはこれで満足しろ。お前を満足させてやるっていう約束は全部終わったら、キッチリ守ってやるからよ?」


 そう言ってサノスケの両手を自分の胸元まで誘導して強引に自分の胸を揉ませると、ヒノエは今度は自分の胸に誘導させた自分の手を今度はサノスケの股間に伸ばした後、玉袋をぐにゅっと握りながら少しずつスルスルと指を這わせながら上げて、今度はそそり立つソレを下から優しくゆっくりなぞり上げたり、上から包むように揉みほぐして、自分の指を口元に寄せた後に舌を出してぺろりといやらしく舐め上げた。


 サノスケは最初こそヒノエのされるがままでヒノエの巨乳を触っていたが、途中から余程触り心地が良かったようで、ぐにぐにと両手で夢中になってヒノエの胸を揉み続けるのだった。


「んっ……!」


 遠慮なく力いっぱいに揉み続けるサノスケの指にヒノエは、我慢するように片目を瞑り、そしてその口から甘美な声が漏れた。


「お、おい! もういいだろう? 組長は約束を反故にされるような真似はしないと分かった筈だ。いい加減にしておけ!」


 ヒノエは何も言わずにされるがまま受け入れていたが、どうやら遠慮なく乳房を揉み続けているサノスケに、ヒノエの組の隊士達は相当に苛立った様子で警告をするように言葉を発した。


「……」


 強引に『一組』の隊士の手によって、ヒノエから引き剥がされたサノスケは、無言で自分の両手を見ながら放心していた様子だった。


(な、何てハリのある胸だよ!? き、鍛え上げられた大胸筋のなせる技か? も、もっと触りたい。今度は馬乗りになって直接……! じ、時間を掛けて揉み倒してこの女にもっといやらしい声をあげさせてやる! そ、そしてふやけさせるように、胸がべちゃべちゃになるまでしゃぶってやりたい! そ、それにあの股の奥をじっくりと湿らせたあとに両穴をお、俺のもので自由に……!)


 サノスケはヒノエのに魅了されたようで、妄想を膨らませてひとりで悦に至っていた。そして何が何でも約束を守ってもらおうと決意を固めながら、鼻息荒くヒノエに熱い視線を送るのだった。


「ふっ……! どうやら気に入ってもらえたようで何よりだ」


 ヒノエもどこか興奮しているような息遣いをし始めたかと思うと、サノスケに揉みくちゃにされた胸元を正し始めるのだった。


「組長! それではそろそろ本部へ戻りましょう。これだけの情報があれば、もう調査は十分だと具申します!」


「ああ……。本部に居る妖魔召士達を見張っている『ヒナギク』の事も気に掛かるしな。よしお前ら『サカダイ』に戻る準備をしろ!」


「「応!」」


 ヒノエの言葉に『一組』の者達は声を揃えて返事をするのだった。


「お、おう!」


 そして両手をワキワキと動かしながら少し遅れてサノスケもまた、ヒノエ組長に本部へ連れて行ってもらおうとアピールをするのであった。


 そのサノスケに対して殺意が込められた『視線』が、組員の多くから届いたことは言うまでもないであろう――。


 ……

 ……

 ……

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