第1144話 ヒノエと素性の知れない女
間諜を行っていた三人の『
しかし彼らは単なる暴漢とは違い、手や足を縛って捕らえたとしてもそこで完全に抵抗が出来なくなるわけではない。何故なら彼ら『
この『
つまり『
直接『
今回のように相手が少数で逆に仲間が大勢いる場合では、それこそ確実と言っていい程に対策は万全であった。そもそも大勢の『
「総長、副総長! ご命令通りに怪しい行動を取っていた『
そして逃げた三人組の内の二人が、総長シゲンの居た場所に連行されてくるのであった。
「ご苦労様。後はヒノエ達が追っていった方の露店商の主に成りすましていた男だけですね」
あっさりと『
「よし、では後はヒノエ達に任せて、俺達は本部に戻るぞ」
そして総長のシゲンもミスズと同じように、ヒノエ達が取り逃がす事はないだろうと判断して、その場に居る者達に指示を出し始めると『
……
……
……
逃げた『
「お前、どういうつもりだよ?」
ヒノエはその惨劇を生んだ少女から刃物を奪い取り、そのまま地面に組み伏せて完全に動けなくしながら詰問を行う。少女は地面を舐めるように地面に顔を押し付けられている。
まるでこのリュウジと同じように逃げた、他の二名の取り押さえられた『
「どういう……つもり、ですか? 自分の身の安全の為に行ったつもりでしたがどうして私が責められているのでしょうか、人質にされていたのは私なのですよ?」
「馬鹿! それにしてもあれはどう見てもやり過ぎだろう! 相手を動けなくさせた時点で十分だった筈だ。あんな風に……、何度も刺突を繰り返すのは、異常過ぎるぞお前!」
確かに人質をとった『
まるであの『
「……」
ヒノエの言葉を聞いて黙り込んだ少女。しかし次の瞬間、少女の目が先程と同じようにどす黒い目に変わっていく。
「やり過ぎですって? 足りないくらいだ!! お前が余計な真似をしなければ、この男の首を斬り落として、何度も何度も……っ!!」
突然大声をあげて取り押さえられた格好で暴れ始めた少女をヒノエは、覆いかぶさるように全体重をかけて動きを止める。
「くっ……!!」
地面に顔を擦り付けられながらも少女は暴れ始めていたが、ヒノエにそのまま腕の関節を極められて、やがては大人しくなるのであった。
「こいつは私が本部へ連れて行く、お前らは先に戻っていろ」
「わ、分かりました!」
言うが早いか『
「ったくもう……! この町に戻って来てから、ワケの分かんねぇ事ばっかりだよ」
その場に一人残ったヒノエは自分の下に居る少女の顔を見ながら、小さく愚痴を零した後に溜息を吐くのであった。
……
……
……
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