第993話 追手の妖魔召士
ユウゲがイツキの元に戻り事情を説明し終えた次の日の昼下がり、ソフィ達はセルバスに『
おとり捜査に協力させていた『
現在ソフィ達は『ヌー』『テア』『セルバス』そして『
アジトの場所は旅籠からは少し離れているようだが、基本的に田舎の一本道の為に向かうべき方角にアジトがあると分かっていれば、そこまで見つけるのは難しくは無さそうである。
ケイノトから『
ソフィ達一行の方は特に会話なども無くアジトへ向かって進んでいく。セルバスに辿り着く前であればまだソフィ達に会話もあったが、今はそのセルバスがヌーを気にして怯えている様子で歩いており、談笑など出来る筈も無かった。
元々ソフィやヌーはそんな事を気にする者達では無いし、セルバスや捕らえられていた男もヌーと会話をするくらいならば、無言の方が気楽だと感じているようでそこまで空気は重たくはなかった。
先頭を歩いているのは『
アジトへ案内するという名目がある為、捕らえられていた男もセルバスも前を歩いているが、今はそれが何よりの救いだとばかりに前を向いて歩いていた。
そのセルバスであるがこの世界に来る前までは、自分とヌーはそこまで差は無く同格とまではいわないが、ある程度は対等の立場だと勝手に思い込んでいた。
しかしこうして『
そんな事を考えていると、セルバスの背後からヌーが声を掛けて来た。
「おい、あとどれくらいで『
「もう直ぐだ! ここからは目と鼻の先にある!!」
ヌーの事を考えていた為か、セルバスは脊髄反射でそう答えるのだった。
「そうあたらんでも良かろう。お主のその怒りはアジトにつくまでとっておくがいい」
ソフィがそう言ってセルバスに助け船を出すような言葉を掛けると、舌打ちをしながらも大人しく歩き始めるヌーであった。
セルバスは慌ててヌーの前を歩き始めると、庇ってくれるような言葉をくれたソフィに心の中で感謝をするのであった。
……
……
……
セルバスの『
「何だ今の音は?」
「もしかすると、戦闘が行われているのか……」
「い、急ぎましょう!」
シグレの言葉にエイジとコウゾウは頷いて、もう尾行はしなくても構わないだろうと考えた三人は、これまでの速度以上の速さでソフィ達を追いかけるのであった。
……
……
……
ソフィ達の集団を追いかけるエイジ達の集団、更にその背後から両集団を尾行する者達が居た。ヒュウガが放った追手の『
「奴らは一体どこに向かっているのだ? 旅籠を経由してそのまま『サカダイ』へと向かう筈ではなかったか」
「ゲンロク様があの者達に『サカダイ』に向かうように告げたらしいが、まさか道を間違えているという事はないだろうか」
一人は短髪で童顔の女性だが、紅い狩衣を身に着けている。
彼女の名前は『チアキ』といい『ゲンロクの里』に居る生粋の『
そしてもう一人の名前は『キネツグ』といい。散切り頭が印象的な男の『
キネツグとチアキはソフィ達を追って里から南下してきたが、旅籠町に就いたと同時に『
どうやらこの方角の先に用があるらしいが、何やらあの屋敷に居たソフィという男と『
「しかし都合がいいといえば、都合がいいかもしれねぇな」
「ええ。サカダイに到着する前に始末をしておきたいところだし、
「ひとまず奴らの目的が分かるまで待つとしよう。ソフィとかいう奴らに意識を行き過ぎないように注意をしろよ? 後ろの集団には、エイジ殿が居るんだからな」
「誰に言っているつもりなのかしら? そんな事は百も承知よ、キネツグ……」
「失言だったな、急ごう」
「分かればいいのよ。さて行きましょうか」
謝罪をしながらもキネツグは、チアキの態度に見えないところで舌打ちをするのだった。
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