第992話 区切り
「イツキ様、確認なんですがね?」
「ん?」
互いに思案をしていた為に
「ヒュウガ殿の取り巻きは間違いなく『
ユウゲの質問の意図を理解出来ないイツキは、眉を寄せながらも質問に応えるべく口を開いた。
「ああ、それは間違いないな。旧来の『
ではまず間違いなく『加護の森』に現れた者達は『
旅籠町に居るであろう護衛達は『
しかし『
そうであるならばイツキの言う通りにここは
もし見張りを立てるにしてもランク『外』やランク『1』の『式』といった何処にでもいて、いつでも切り捨てる事の出来る野良の妖魔を出すべきだろう。
こんな時に空を自在に飛べて戦力も申し分ない『
「まぁ数日は様子を見てからこちら側で見張り役を用意しておくとしようか。それにしても色々と助かったぞユウゲよ」
「いえ、お役に立てたようで何よりです。しかしもう当分俺には
彼の中で『
「ゲンロクからは『退魔組』に動くなと指示されているしな。当分はお前達も暇になるだろうな」
しかし今回の一件でユウゲ自身も『
彼自身が今述べた様に他の『
今後イツキから再び手を貸してくれと頼まれたならば、むしろユウゲから協力を申し出る事だろう。
「では、俺はそろそろ戻ります」
「ああ。いや、少し待て」
話を終えて立ち上がろうとしたユウゲにイツキは懐から巾着袋を取り出した。
「今回はよくやってくれたな『ユウゲ』。これで美味い酒でも呑んで英気を養え」
そう言ってユウゲに金子の入った巾着袋を手渡した。
「助かります……、むっ!?」
受け取った金子が入った巾着袋は想像以上にずっしりと重く、この場で検めたい衝動に駆られるユウゲだった。
「ククッ! 『
そう言ったイツキは金子の重さに驚いているユウゲに、にやにやと厭らしい笑みを浮かべながら冗談めいた口振りでそう告げた。
「ふふっ……、またいつでも呼んでくださいよ」
「ああ。お前は頼りになる。よろしく頼むぞユウゲ?」
今度こそ話は終わりのようで『ユウゲ』は、長屋の玄関でイツキに一礼して、そのまま長屋を出た後、宵闇の中に消えていった。
…………
「意識を失わせて他者を操るか。耐魔力に拘わらず、他者を操れる事が出来るというのなら、是非配下に欲しい逸材だが、本当にタイミングが悪いな……」
ユウゲの報告が眉唾でなければ今すぐにでもその『
『
『
「偵察を直にしたいところだが、全てを終えてから『ヒュウガ』殿からの一報を待った方が良いだろうな」
誰も居なくなった部屋で一人、そう言葉を漏らすイツキであった。
……
……
……
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