第974話 嘘から出たまこと
退魔組の六人は加護の森に到着して直ぐに、各々が戦闘準備に入って警戒を強め始める。
ここに来るまでは、まるでピクニックにでも出掛けるような楽し気に会話をしながら歩いていた退魔組の退魔士達だったが、やはり彼らも退魔組の中では最高位に居る者達だけあって、やるべき時にはその真剣さが行動に現れているようだ。
「やっぱり『結界』はいつも通りに働いてますねぇ。これだったら、ランク『3』から『4』の野良の妖魔が出現すれば直ぐに分かると思うんすけど、どう言う事っすかねぇ」
長い黒髪を二つに束ねている『
「ふーむ。ひとまずこちら側では争った形跡は見受けられないな。もう少し奥側まで進んでから改めて結論を出そうじゃないか」
最古参の『
森に入ってからはまず戦闘になった時の事を考えて、護衛剣士達が前方に出てその後ろに『
しかし『
(※ランク『2』の妖魔で『大魔王中位』の最上位領域クラス)
ここに来るまでにサキが言っていたように、もしかすると本当にサカダイの『
この場に居る六人は退魔組の中ではピカイチの強さを持つ者達だが『
その『
しかしそれは一対一での戦いであればという前提の話であり、今のこの状況のように『
『結界』と『
そして彼らが入って来た入り口からだいぶ奥へと進んだ辺りで、遂に戦闘の痕跡を見つけるのであった。
「これは確かにランク『2』や『3』の妖魔ではないな……」
地面の至る所に穴が開いていて、まるで雷が直撃したような跡や、木々が不自然にちぎれていたり、折れ曲がっていたりしていた。
「しかしイバキ様達や、彼の『式』の姿が全くありませんね。これ程までに激しい戦闘があったというのであれば、あまり見たくはありませんが死体が転がっていたり、血痕が少なからずあるのが普通だと思うのですが」
ユウゲの護衛を務める女剣士ヤエがそう告げると、三白眼の痩せ細った男『ヒイラギ』が何やら座り込んで地面に手をやっていた。
「皆、こっちへ来てくれ。複数の足跡のようなものがあるぞ」
ヒイラギがそう言うと、その場に全員が集まって来る。
「ここから奥の方へと複数の足跡は続いている。どうやら討伐編成された連中は、全員でこの先へと向かったようだ」
「ちょっと待て……。この先はもう加護の森を抜けてしまうぞ。あちら側の森は『ケイノト』側の管理している土地では無い筈だ」
ヒイラギが指で指し示す方向に対してクキがそう説明をするが、その場に居る全員がその道の先にある森が何処なのかを理解している。
先程まで冗談で言っていた筈の『サカダイ』の話題がここにきて、その信憑性を増していく事になるのであった。
「まさか、ねぇ?」
「まさかでしょ……」
「どうするんだよ?」
退魔組の六人は互いに顔を見合わせながら、このまま向こう側へ行くかどうか悩み始めるのであった。
……
……
……
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