第396話 二つ目の拠点に居た真なる大魔王
「それではレアさん。行きましょうか」
どこかに連絡を取っていたバルドだったが『
「ええ。
集落へ来る前に聞こえていた北側の大陸での爆発音が止み、不安になるレアだったが、バルドはそんなレアにも理解出来るように告げる。
「次に魔王軍が狙うとすればここより南の大陸でしょうから、今の内に向かえば問題はないでしょう」
「次?」
「儂について来れば分かりますよレアさん。それとも、やはり止めておきますか?」
「フルーフ様の事が何か分かるかもしれないのに、ここで私がやめる選択肢をとる事はあり得ないわぁ」
レアの返事を聞き神妙に頷くバルドだった。
「分かりました。しかし先程も言ったように、何があっても絶対に手を出すような真似だけはやめてくだされ」
再度念を押してくる『バルド』に『レア』もまた再び頷く。
「……」
レアとバルドの会話を聞いていたリーシャは、何かを言いたそうにしていた。その様子を見たエイネがリーシャに告げる。
「リーシャ。これから行く所はとても危険だから私とお留守番ね?」
「う、うん」
流石にリーシャもここまで鳴り響く爆音を聞いていたため、事の重大さは理解している。
レアと一緒に行きたいと言いたいところを我慢しながら、リーシャの言葉に素直に従うのだった。
「帰ってきたらまた私と一緒に組手しようねぇ?」
レアがリーシャの頭を撫でながらそう言うと、リーシャは俯いていた顔を上げて
「じゃあ、行きましょうか」
バルドの言葉にレアは頷く。
バルドが先頭に立ち先導するように空を飛ぶ。その後ろをレアがついていった。
向かう場所は『
……
……
……
その南方大陸ではすでに一つ目の拠点と同様に『魔王軍』が潜む『反乱分子』と呼ぶべき、反魔王軍を掲げる『レジスタンス』が、ソフィの魔王軍と激しい争いが行われていた。
この南方は流石に一つ目の拠点とは違って『組織』の現行の構成員が多く『レジスタンス』と手を組んでいるために、そこそこ魔王軍に反抗出来る程の人数の魔族が居た。
そんな『組織』の『生贄部隊』の中に、一体の
――その魔族の名は『リガイダー』。
「ほう、なかなか見事じゃの」
そんな『リガイダー』を離れた場所から見る『智謀』の異名を持つ魔王が、呟きながらもレジスタンスの魔王達を次々と屠りながら進んでいくのだった。
「あれは二桁の奴らじゃ
大きな刀を両手で持って敵が間合いに入れば、一振りで数体の魔王の首を吹き飛ばしながら、敵の出方を伺い続ける『イリーガル』は『ディアトロス』の呟きに反応してそう言った。
「もしかするとあの若造達と連絡をとるために残った幹部
ディアトロスは周りの反乱分子達を一斉に、老化させて動けなくさせた後に極大魔法で一斉に吹き飛ばしながら、リガイダーの戦う様子をその目で追い続ける。
「しかし一体一体は、大した事がない者達ですが。全く、面倒な程に数が多いですな!」
イリーガルはすでに何十体モノ魔族の首を刎ね飛ばしている。
しかし一向に数は衰えず、むしろ続々とその数が増えて行っているような錯覚を覚えていた。
「どうやら数ある拠点の中でここが本丸だったようじゃの」
ディアトロスとイリーガル以外にも、序列を持つ魔族達がこの場に多く集まっており、レジスタンスや組織の生贄部隊を一方的に屠り続けている。
しかしそれでも一つ目の拠点の時とは違い、すぐに終わる気がしなかった。
「分かりませんよディアトロス殿。今頃はもう一つの拠点に向かった『ブラスト』達も、同じことを言っているかもしれません」
三つある拠点の内。最後の拠点に『ブラスト』と、序列一桁を持つ魔王軍が向かっていた。
一つ目の拠点を襲った時は『組織』の『生贄部隊』の主要な者が少なく、更には魔王軍のほぼ全ての軍勢が集って『反乱分子』達を滅ぼしたため、かなりの速度で壊滅させられたが、今回は二手に分かれているために一つ目の拠点を襲った時より速度で劣る事となった。
だがそれでも
――『組織』の残存勢力や、反乱分子達もただの馬鹿ではない。
一つ目の拠点が壊滅させられたという情報は、この世界から離れている者達にも伝わってしまっているかもしれない。そうなれば『組織』の連中は、再び何か行動に出る事だろう。
奴らの目的を完全に知っているわけではないソフィ達『魔王軍』は、
そしてどうやらディアトロス達の前で『魔王軍』と戦っている『リガイダー』が、大当たりだったようである。
ディアトロス達は、何としてもリガイダーを無力化させた後に、組織の事を吐かせなければならないと考えるのであった。
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