1-13 1-Sクラス
なるほど。魔法にもいろんな物があるのだな。
本を閉じ、窓の外へ目をやると既に暗くなっていた。
こんなに時間が経っていたのか。知識欲というのは怖いものだな。次から次へと本を読みたくなってしまう。だからといって、切のいいところまで読んでしまうとこの通り時間を忘れてしまう。自己管理がまだまだだな。
少し離れたベッドににいる。寝ているであろうカミュの方へ顔を向ける。
「おい、カミュお腹は減らないのか」
「さっき食べたわよ。あなたが本に集中している時に」
そうだったのか。そこまで俺は本に集中していたようだな。
俺は、
初めてにしては焼き加減がうまくいったな。そういえば明日試合をすると言っていたな。念の為今日は早く休むか。
今日はニアと登園だ。なぜか、カミュは支度を終えるとすぐ出てしまった。昨日から避けられているようだ。俺が彼女になにかをしてしまったのだろうか。昨日を振り返っても全くわからない。
「カイ、聞いてるの?」
横からニアが話しかけていた。
「すまない。少々考え事をしていた」
「もう……だから、今日から学園が普通に始まるけどいったい何をするんだろうね」
ニアは俺と普通に話してくれている。というか少し距離を縮めてきたようだ。
「確か。自己紹介を兼ねて試合をするとか言っていたな」
「なんでそんなこと知っているの」
ニアは訝しんでいるようだ。
「それはな、昨日校長室に呼ばれて担任から教えてもらったんだ」
「もう、担任の先生にあったの?なんでカイばっか特別扱いされてるのよ」
少々気に食わないという顔をした。
「そんなことを話していたら、学園に着いたぞ」
「そうね。それじゃあ、教室に向かいましょうか」
ニアは教室に向かおうとする。
「ニア聞きたいのだが、教室はどこにあるんだ?」
ニアは素っ頓狂な顔をした。
「なんだ、急に変な顔をして」
「あんたが変なこと言うからでしょ!!なにが『教室はどこにあるんだ?』よ。目の前に地図があるでしょ」
「なに!?」
俺は、正面の壁を凝視する。
「確かに地図のようだな。よくわかったな」
「誰でもわかるわよ!!」
ニアは朝からテンションが高いな。
俺とニアは教室へ入る。すると、教室がざわつき始めた。
「おい、あれニア・リヴァイアスだよな!天才の」
「そうだ。天才と言われてるニアと新入生代表の……誰だったかな」
俺は、教壇へ上がると
「おはよう。皆知りたいようだから教えてやる。俺の名前はカイ・グリアムズだ」
すると、ニアが俺の頭を叩いた。
「なにをするんだ」
「こっちのセリフよ。何急に教壇に上がってるのよ」
「ここで発表するんじゃないのか」
「確かにここで先生が話すけれど、初対面の人にあんな事言わないわよ」
俺は、ニアに引っ張られ席へ連れて行かれる。すると、横から刃物を投げつけられた。
俺は刃物を人差し指と中指で捕まえる。
「よぉ、白髪。お前も1-Sクラスだったのか」
「ラフクス・サリヴァンだったか?おはよう」
ラフクスは拳に力を入れた。
「おはようじゃねぇよ。この間の借りを返させてもらうぞ」
と、その時チャイムがなり先生が入ってきた。
「ほら、皆座って」
ラフクスは舌打ちをすると席へ戻った。
あいつは、言動は乱暴だが真面目なようだな。いい友達になれそうだ。
「このクラスの担任を任された。フォン・ユアテルと申します。皆よろしくね」
フォンは、軽い自己紹介をしお辞儀をした。
「皆も知ってのとおり、この学校は成績でE.D.C.B.A.Sとクラスを分けられています。AからEは二十人だけれど、私達のクラスは特待生のみのクラスになっているから、人数は六人なの」
そうだったのか。だから昨日、ニアは自慢げにクラスをいい、カミュは恥ずかしそうに言っていたのか。
「今日は、初日だし自己紹介を兼ねて実戦を想定した試合をやるから、皆この箱からボールをとって。番号が同じ人が相手だよ」
俺は最後にボールを取りに行く。
番号は三。
「一試合目、ニア・リヴァイアスvsパクル・ドール。ニ試合目、ラフクス・サリヴァンvsウド・グラリス。三試合目、カイ・グリアムズvsピカトル・パック」
ラフクスが俺にささやいてきた。
「うまく逃げやがって、お前ら三試合目は二回戦がねぇじゃねぇか」
逃げやがってと言われても俺は最後のボールを取っただけなんだがな。ラフクスは相当俺と戦いたいようだな。
フォン先生は笑顔になる。
「勝ち残った人は私と勝負よ」
この場にいた俺以外全員が驚いた。
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