第49話 退屈のギヤルちゃん
身長の2倍以上もある大きな土の巨人が襲い掛かってくる。
「はぁああああ!!でやあああ!!」
ソウリオは槍で巨人の腹を突くが
鈍い音を立ててそれは弾かれてしまう。
「く、なんて、硬度」
「下がって!」
ユシアはソウリオを庇うように動き
斧の一閃で巨人の足を砕く。
その攻撃力にソウリオは目を丸くする。
「おら、役立たずは下がってろ」
センシの心無い一言にムッとするが
確かに今のままでは足手まといにしかならない。
ソウリオは切り替えて後退する動きを取る。
「ユシア殿、怪我をしたら、すぐに回復術式を使うからな、安心してくれ!」
ソウリオは大きな声で叫ぶ。
「・・・」
ユシアは内心、怪我に気を付けよう と気を引き締めた。
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月見の塔、上層
ギヤルは横の窓から見える空を眺めながらため息をつく。
「弱い猿ばっかりで、つまんねーなぁ」
彼女の足元に転がっているのは
勇者の仲間選抜の出場者たち
誰もが瀕死の状態であり、悲鳴が出なくなるまで鞭で打ち付けられ、呼吸が浅くなっている。
そこにゆっくりと歩いてくる人物がひとり
「よぉ、遅かったじゃねーか、待ちくたびれたぜ?ロストロイスの仮面部隊」
彼女の名前はマジョ
ゆったりとした服、
鬼の面に青みがかった黒い長い髪をなびかせている。
「私達の事・・・知ってるの?」
「ああ、あそこの『魔術師』は強い奴が多いって評判がいいぜ?」
ギヤルはそういった瞬間腕を素早く横に振る。
彼女の鞭が空気を弾く音と共に外壁に撃ちつけられてその場所が大きくえぐれている。
「だが、相性が悪かったな、このあたし、ギヤルちゃんは魔王軍の中じゃ『魔術師殺し』の名で通ってんだ」
マジョはギヤルの脅しを特に気にする様子もなく
「それは偶然ね」
(実は私も同じような呼ばれ方をしているの)
ボソリと言葉を呟き・・・
そして、戦闘態勢の『構え』を取る。
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