乙女ゲームの中に転移してしまったんだけど、普通に嫌なのですぐ帰りたい。
牧野 麻也
【イベント1】舞踏会イベント
「記念に一曲、俺と踊って頂けませんか?」
目の前に立つのは、サラサラな金髪とキラキラと輝く碧眼。豪奢な服はどこかヨーロッパ系の国の正装軍服のよう。
年の頃は十代後半。恐ろしく整った顔にうっすらと微笑みを称え、私に白い手袋をした右手を差し出してきていた。
周りの視線が一気に私へと集まる。
そりゃそうか。
彼は確か、王太子だか皇太子だかいう、この国で途轍も無く高い位置におり、将来この国を背負って立つ立場になるとかならないとか。
その彼から、舞踏会会場で直接声をかけられダンスに誘われる。
この場合、どうすべきか。
このイベントの正解は?
アタシは、もたれかかっていたテラスの手すりから身体を離し、自分の右手──に持ったタバコを床に投げ捨て爪先で踏み消す。
そして
「おとといおいで、坊や」
そうハッキリくっきりと告げてから、その場を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます