創作論Q&Aシリーズ!【作家の味方PROJECT - 出張署】
らぴ
★三人称目線で書いている途中で、主人公目線で書いてもいいものでしょうか?
■質問内容:三人称目線で書いている途中で、主人公目線で書いてもいいものでしょうか?
■解答結論:章や節を分けて行う場合は、そこまで問題はないでしょう。
■解答の詳細について
まずは、今回は質問していただきありがとうございました!
さて、頂いている質問についてですが、おそらく質問者様の書き方から察するに、「人称」と「視点」をまだごっちゃにして、解釈してしまっているような気がしますね。※違ったらごめんなさい!
でもまぁ、安心してください。そういっている私自身、10年くらい勘違いしたまま、結局よくわからずに放置していた問題なので、むしろわからない方が通常でしょう。
創作界隈では、よく「一人称視点」や「三人称視点」という言葉が飛び交っているのを耳にしますが、実はこの言い回し自体、過去に学会で欠陥がありすぎるから使うのをやめろとまで言われていたりします。
といっても、全部話していても話が長くなるばかりなので、詳細が知りたければページ最下にあるリンク先を参照してみてください。
ここでは、かいつまんでいいますが「人称」と「視点」は切り離して考えたほうがいいです。
そして、人称というのはぶっちゃけ「私」と書いている部分を「名前」とすり替えるかどうかだけの問題にすぎないので、好きな方にすればいいです。※ただし、不用意に作中で人称の統一しないのはおすすめしません。
問題になってくるのは「視点」の方でしょう。
今回の質問の主旨を汲み取るとすれば、おそらく「俯瞰視点と主人公視点の切り替えを行って良いか?」という問題の解答が知りたいのだとおもわれます。
端的に答えるとすれば、YESです。大丈夫です。
タブー視されているのは、あくまで「視点のぶれ」です。要するに、いま誰に感情移入して話しているのか読者がわからない状態が良くないと評されているのです。
逆に言えば、それさえわかれば問題ありません。
事実、俯瞰視点と主人公視点をうまく切り替えながら書かれている小説もあります。
幼女戦記などが良い例でしょう。基本は三人称俯瞰視点ですが、たまにターニャ(主人公)の愚痴が地の文に入ってきています。
他の創作論サイトなどで視点の切り替えをおすすめしないといわれているのは、初心者のうちは「視点のぶれ」を起こしてしまいがちだからでしょう。
実はチェックする方法自体は、とてもシンプルなんです。いろんな人に読んでもらって、視点のぶれで違和感が出てないか感想を聞けばいいだけの話だからです。
では、なぜ初心者のうちはやめとけといわれるのかといえば、違和感が「視点のぶれ」によるものなのか、他の部分によるものなのか、ごちゃごちゃになってわからないからです。
ある程度、視点のぶれ以外のところをうまく書けるようになって、はじめて感想で視点がぶれているかどうか気づくことができるというわけですね。
そういう論拠で、初心者のうちは視点を切り替えないほうが良いと言われているようです。
じゃあ、結局初心者は全員、視点は切り替えないほうがいいの?
といわれると、おすすめはしないとだけしか言えませんが、やってみたいのであればやってみてもいいとおもいます。失敗から学べることもありますからね。
もし、失敗してもやってみたいというのであれば、2点だけアドバイスを残しておくことにしたいと思います。
ケース1.視点の切り替え回数は最低限に留め、あたかもセリフを地の文に引用文のようにして組み込むと、視点のぶれではなくモノローグかなと思われて、ぶれを紛らわすことができます。
ケース2.主観的な文と客観的な文は、極力混ぜないようにしましょう。視点のぶれが多発します。
たとえば、「泣いた」という描写は客観的な事実を表す文なので「客観視点」です。一方、これを主観的な文でいうと「苦しかった」とかになります。
これを混合すると、以下のようになるのです。
客観視点の例文:渚沙(なぎさ)はその日、夜が明けるまで泣いた。朝日が彼女の頬をそっと照らしだす。
主観視点の例文:私の苦しみは、夜が明けるまで続いていた。見慣れているはずの 朝の陽光は眩しくて、どこか暖かく感じた。
混合してしまった場合①:渚沙(なぎさ)はその日、夜が明けるまで泣いた。見慣れているはずの 朝の陽光は眩しくて、どこか暖かく感じた。←前の文が俯瞰視点になっているので、見慣れているのは「誰?」ってなる。
混合してしまった場合②:私の苦しみは、夜が明けるまで続いていた。朝日が私の頬をそっと照らしだす。←詩的になって、臭みが出てくる。
こんな感じになってしまうからです。正直、これだけだと語弊もたくさん出てきそうなので、以下の記事で「視点」と「人称」の基礎をしっかりと抑えておくと、なにをいっているのかもっと理解できるようになるとおもいます。
https://sakka-no-mikata.jp/2019/05/18/viewpoint-switching/
というわけで、解答になっていれば嬉しいです。
お疲れ様でした!
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