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 喜びを分かち合う二人の懐で、UGNから支給された携帯端末が鳴動した。

 二人はUGNにイリーガルとして登録されている。この端末が鳴るということは、まず間違いなく、何らかの事件があったということだろう。


久人:「っと、ゆっくり喜ぶ暇もなしか。彩、どうやら仕事みたいだ」

彩:「うん、わかった。すぐに、したくするね」


 苦々しく呟く久人を元気づけるように、彩は笑顔で応える。

 準備を整えUGN支部に向かった二人を待っていたのは、厳しい表情を浮かべたUGN支部長だった。

 事情を聞けば、この街にFHエージェント“アンリアル”が侵入したらしい。

 “アンリアル”は妄想衝動を暴走させた強力なジャームであり、対象の脳内に幻覚を投影する戦法を得意とするという。

 UGNはこの難敵に対処すべく、パトロール活動を強化する。それに協力してほしい、というのが、支部長からの要請だった。


久人:「なるほど……わかりました。頑張ろうな、彩」

彩:「うん! まちのへいわは、わたしたちがまもらないとね」


久人の呼びかけに大きく頷く彩。

微笑ましくも息ぴったりな二人は早速、街の警戒活動に向かうのだった。

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