#2 異世界じゃ今、ニホン人が熱い!(1)

 ファリーリーとかいうこのアホは、あーしに向けてゆっくりと手招きするようなポーズを取ってきた。


「ここでは落ち着かないから、異空間で話しましょー」


 そんなセリフを吐いたと同時に、あーしと、実体の方のあーしまでもが光に包まれて……。


 気付けば全方位真夜中の空みたいな、ひんやりとした空間に連れてかれちまってた。


「うおっ。足下まで暗いし、それになんか浮いてるっ!? 星みたいなのが光ってはいるけど――ん、霊体なのにあーしの声めっちゃ響いてねーか?」


「ここは魂の力がより明確に現れる場所だからそうなるんですよ。星に見えるのは別の誰かの魂です」


 地上の時よりも近い距離――数歩分位の所に居たファリーリー。


 ここまで近付くと分かる。やっぱり左脚のスリットから微かに白のパンツが見えてる。


 マジでちょっぴり。狙ってやってるとしたらとんでもねー程の見せ上手だ、チラリズムってもんを完全に熟知してやがる。


「アンタ一体なんなの? レイヤー? あんま際どいカッコ過ぎるとおまわりさんとか来ちゃうよ? あーしはそーゆー攻めてるスタンス嫌いじゃないけどさ」


「ふふっ。最初から私に親近感を持ってくれるのは嬉しいですが、私はコスプレイヤーではなくて女神ですよー」


「あはっ、マジでそーだっての? なんで女神なのにレイヤーって聞いてすぐコスプレのことと分かんだよ?」


「時々お忍びでニホンに来て、その文化に触れてるからですっ。目立たないようにニホン人のファッションに身を包みながらね」


「へー、ニホン好きな女神サマってワケか。アクティブじゃんか、気に入ったわ」


 いきなり出て来た時はって思ったけど、ちょっと話しただけでもこの女……いや女神サマがノリの良いヤツなんだってのは分かった。


「で、なんかさっきとんでもねーことを言ってた気がすんだけど。あーしをにするとかってさ?」


「はいっ。アナタの魂、それに肉体をもバッチリ復活させてあげちゃいます! そしてゼルトユニアで私の宗派しゅうはファリシア教の聖女となって、魔物の仕業やその他悪しき出来事で辛い思いをしている民を、爽快に救ってあげて欲しいんですー」


 ファリーリーは満面の笑みでそう言い切った。


 え、肉体も? マジで?


 い、いやちょっと待て。なんか後半、軽いノリのまま物騒な話に持っていってたぞ……。


「魔物とかって、あーしはただの女子高生だよ? 復活したとしてもそんなもんとは戦えねーよ」


「そこは悲観しないでください。或る意味私の代行者としてお呼びするワケだから、それにふさわしい強大な魔力を使えるようにしてあげますっ」


「魔力ぅ?」


「はい。神が異世界転移する者にそうした贈り物をするのは、決して珍しい事では無いんですっ」


 それは別に知らねーけどさ……。


 ――(2)へつづく!――

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