243. 異世界1910日目 北の賢者様との再会
王都のクリアレントに到着してからまずは宿の予約をとり、ジョニーファンさんの屋敷に行ってみる。いろいろ不都合があってもまずいので簡単な変装をしていくことにした。
受付に行くと、結構な人数が待合室で待っていた。たしか面会希望の受付をするだけのはずなのに何でこんなに人が多いんだろう?
「こんにちは。ジョニーファン様の面会希望です。紹介状はありませんが、ジョニーファン様の身分証明はあります。」
「ジョニーファン様の身分証明ですか?申し訳ありませんが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「はい。ジュンイチとジェニファーです。」
名前を告げると、少し驚いたような顔をされる。
「少々お待ちください。」
そう言って奥に行ったと思ったら、すぐに他の女性を連れて戻ってきた。
「ジュンイチ様、ジェニファー様、お久しぶりです。こちらにどうぞ。」
以前来たときに受付をしていた人だった。併設する建物の部屋に案内されて席に着く。
「クリニアさん、お久しぶりです。変装を解きますね。」
大きな変化はないが、やはり確認してもらった方がいいと思うので変装を解く。
「お二人とも元気そうで何よりです。ジョニーファン様も首を長くして待たれていますよ。一応確認のために身分証明を見せていただけますか?」
以前もらったブローチを出して確認してもらう。
「はい、間違いありませんね。まあ、そもそもこの存在を知っている人がほとんどいませんからこの話をする時点でほぼ間違いないのですけどね。」
「そうなんですね。
そういえば、前来たときはここで待つ人はほとんどいなかったと思うのですが、今日は人が多いですね?何かありましたか?」
クリニアさんは苦笑いしながら説明してくれた。
「以前は面会することがほぼ出来ないと言うことで受付に書類を出すだけだったのですが、ジュンイチさん達がかなり頻繁に会われたことが噂になってしまいまして・・・。
そのあともサルマン様達はご存じですよね?彼らとの面談も何度かありましたし、ヤーマンへの使節に同行したことも大きいですね。
それでもしかしたら面会できるのではないかと考える人が多くなったようで、いつお呼びがかかってもいいと思う人が待つようになったようなのです。これでも一時期よりは減りましたけどね。
ただ会って話をしたいと言うよりは会うことが出来たという実績がほしいだけの方がほとんどですので、まず会えることはないと思いますけどね。」
「そうなんですね。なんかご迷惑をおかけしたみたいで・・・。」
「いえいえ、お気になさらずに。提出される書類の数はさほど変わっていませんし、待っている間にこちらが何かするわけでもありませんからね。」
このあとここ最近の話を少ししていると、準備が出来たと言うことで案内される。門の方へと案内されていると、待っている人たちからにらまれてしまったよ。勘弁してほしい・・・。また変な噂が広まってやってくる人が増えるかもしれないなあ。
屋敷に入るとジョニーファンさんが歓迎してくれた。ちょうどお昼前だったので一緒に食べようと言われて食事をすることになってしまう。
「ハクセンでは騎士隊に混じって訓練をしたらしいのお?もちろんここでも訓練を受けていくよな?魔法団に話は通してやるから大丈夫じゃぞ。
魔法についてはいろいろと詳しいみたいじゃが、魔力操作などについてはいろいろと勉強になることもあるだろう。わしもいろいろと聞きたいこともあるからの。」
「えっと・・・はい・・・。ただちょっと行ってみたいところがあるのでその後でお願いしたいと思いますが、よろしいですか?」
どうやらすでにラクマニアさんから連絡が来ていたらしく、いろいろと有意義な時間を過ごせたと言われていたらしい。
この北の方にある遺跡の調査に行きたいことを伝え、その帰りに寄っていくことにした。時期的に考えるとそのくらいから移動が難しくなるだろうからちょうどいいかもしれないね。もしかしたら地球に戻るタイミングになるかもしれないけど、そこは気にしないでおこう。
「まあこればかりは仕方がないのう。もともとそのつもりでこっちに来ているのだろうから、それを邪魔するわけにはいかんな。
まあそうはいっても少しはここに滞在しても大丈夫じゃろ?その間はここに泊まっていけばいいからの。」
結局、宿はキャンセルして屋敷に二日間お世話になった。魔法についてはかなり威力が上がってきていたので驚いているようだったが、あまり詳しい話が出来ないのでイメージを伝えるのがむずかしい。
雪が降る前には戻ってくることを約束して屋敷を後にする。遺跡の調査許可証はすぐに出してもらえたので遺跡の調査には問題ないだろう。
~ジョニーファンSide~
ラクマニアの奴から連絡をもらったんだが、ジュンイチとジェニファーの二人がかなり長い期間滞在していたらしく、有意義な話が出来たと自慢してきおった。このあとこっちに来るという話だったのでしばらく滞在してもらわなければならないと思っておった。
受付には二人が来たら、とにかくすぐに連絡をするように伝えていたところ、やっとやって来たと連絡があった。
すぐに面会許可を出すとあの頃と変わらないままの二人の姿じゃった。もともと年をとりにくい体質なのかもしれんな?もしかしたらトウセイ大陸の血が混じっているのかもしれん。
魔法団への体験入団の話をしたんじゃが、遺跡調査に行きたいというので仕方ないとあきらめしるかなかった。まあもともと遺跡の調査にかなり興味を持っていたようじゃからな。二日ほど滞在して出発していったが、この二日間だけでもかなり有意義な内容だったわい。
しかし魔法の上達速度は驚くほどだったな。これだったら魔法団でも十分にやっていけるじゃろう。まだ魔力操作などは甘いようだが、魔法の威力はわしを超えているかもしれん。
しかしこの年になってこんな新たな発見があるとは思ってもみなかったぞ。なにかしら根底となる知識を持っているようだが、そこはうまくはぐらかされているような気がするな。本当によく分かっていないのか、分かっていているが出せない理由があるのか分からないがな。
もしかしたら遺跡にその秘密をとく鍵があるのかもしれんな。それで遺跡調査にこだわっているのじゃろうか?まだ断片的な調査なので分からない事が多く、自分たちの中でもまとまっていない可能性はあるな。
遺跡の調査が進んでいろいろと解明されてきておるが、すでに失われてしまっているものも多いからな。現在残っているのはほとんどが壁画くらいで、使える素材はすべて回収されて加工されてしまったのは今考えるともったいない事じゃ。北の遺跡のように新たに発見する遺跡でなければ古代文明の解明は難しいじゃろう。
もしかしたら二人はそれらの遺跡を見つけたのかもしれんな。それを元にさらに調査を続けているのかもしれん。まあ無理に聞き出そうとは思っておらんし、やはり他人から教えられるだけだとおもしろくないからのう。
~待合室の人Side~
ここで待つのもどのくらいになるのだろうか?時間がとれるときには出来るだけここで待つようにしているが、同じように待っている人で会えたという話は聞いたことがない。やはりジョニーファン様が社交的になったというのは間違いだったのだろうか?
私のできる限りの伝を使って貴族の方から紹介状を書いてもらっているのだが、まったく呼ばれることがない。もともとジョニーファン様と友好的な貴族自体が少ないこともあるのだが、実際に会った方達からは紹介状を書いてもらうことが出来ないので仕方がない。
今日も同じように受付をして待っていると、冒険者のような格好をした若い二人がやって来た。聞こえてきた内容から紹介状もなくやって来たようだった。
なにもなく会おうとするとはなんて無謀な奴らなんだと思ったのだが、受付は驚いた顔をして奥に入っていった。しばらくすると別の女性がやって来て、二人を他の部屋に連れて行った。
どういうことだ?あの部屋に入ったと言うことは面会できると言うことなのか?先ほどの話だと事前に約束していたようには思えないぞ。
しばらくして出てきた二人はそのまま門の方に向かった。本当にジョニーファン様と面会できるのか?いったいどういう人間なのだ?
受付が閉まる時間までいたのだが、あの二人が出てくるところは確認できなかった。まさか昼前に入ってからずっと話をしているのだろうか?
気になったため翌日も同じように行って待っていたのだが、特に新しい情報は得られなかった。そしてさらに翌日に二人が門から出てくるのを確認できた。まさか今まで屋敷に泊まっていたのか?すぐに走り去ったので後を追うことは出来なかったが、本当にどういう人間なのだろうか?
一応受付にも聞いてみたが、何も教えてくれなかった。まあそれも当然と言えば当然だろう。この話が伝わったせいか、翌日からまた待つ人間が増えてしまった。
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