172. 異世界1062日目 3度目の年末年始
新婚旅行から戻ってきてからは再び鍛錬に日々を費やすこととなった。武術だけでなくいろいろと勉強などにも力を入れた。
さすがに冬になると徐々に気温も下がってきて雪が降る日も増えてきた。雪は積もるがすぐに除雪というか溶雪というか、町中の雪はすぐに溶かされるので、町の中では特に生活に困ることはない。魔道具や魔法を使って溶かすようだ。
他の都市との物流もある程度は行われているのだが、やはり必要最低限となっているのはしょうが無いところか。まあそのために十分な食料が備蓄されているんだけどね。
今年の年末は二人でのんびりと過ごすことにした。年末なので教会に行ってお祈りを捧げると、急に声が聞こえてきた。
「聞こえますか?」
「「??もしかしてアミナ様?」」
ジェンも驚いてこっちを見ていた。
「そのとおりです。今の状況をお話しますのでそのまま聞いて下さい。」
「わかりました。」
「まずは連絡が遅くなって申し訳ありませんでした。あなた方のことをやっと申請することができました。すぐに何かの対応があるわけではありませんが、ちゃんと処理を行ってくれるはずです。」
「処理を行ってくれると言うことは元の世界に戻れると言うことでしょうか?」
「そうなるはずです。ただ少なくとも今までと同じくらいの時間はかかると思って下さい。」
「ということは少なくとも3年ほどはかかると言うことなのでしょうか?」
「おそらくそうなるだろうと言うことしか今の時点ではいえません。今回は今までとは状況が異なりますので、戻るタイミングや時期についてどうなるのかについては正直わかりません。おそらく何かしらの説明があるのではないかと思っています。
また今回の処理については色々と不手際があったと思われますので、戻ることになった際には私たちも協力できることは協力したいと思っています。」
「人の時間では長いかもしれませんが、それまで無事であることを祈っています。」
「「・・・」」
神様のお告げってほんとにいきなりだよなあ。まあ向こうも状況は見ているとは思うからい戦闘中とかではなかったからいいけどね。今回も教会での祈りを下げてきたので話をしてきたんだろう。
いつ戻れるかははっきりしないけど、少なくとも3年はあるってことはまたいろいろとジェンと一緒にいろいろと行ってみてもいいかもしれないな?このままここで暮らしていっても確かに一緒にいる時間は長くて思い出にはなるけど、強烈な記憶と言うことにはならないだろう。
「お金はあるからこのままサクラで暮らして行けるとは思うけど、お互いのことをできるだけ記憶に残るようにするならいろいろな経験をした方がいいと思うんだ。」
「たしかにそうよね。出会ってから2年ちょっとになるけど、やっぱり最初の頃とかいろいろと行ったことの方が印象には残っているものね。結婚式とかはもちろんだけど、ここ最近は平穏な生活過ぎてあまり印象にはないと言われれば確かにそうなのよね。」
「それじゃあ、温かくなってきたらまた旅に出てみるか?」
「そうね。せっかくこの1年頑張ったんだしね。」
「どっちにしろしばらくは動けないからどこに行くのかをしっかり決めていくことにしよう。3年というのもどこまで本当かもわからないからね。」
新年は毎年のように朝日を拝んでいたんだが、今年は残念ながら天気が悪くて見ることができなかった。朝早めには起きたんだけどね。今年も新年の挨拶とともにジェンからキスをしてもらえた。軽いキスじゃなくて結局そのまま・・・。うん、朝から元気だ。
今年のプレゼントはお出かけの時に使うバッグを買ってみた。結構値段がするものだったが、前に買い物に行ったときに見ていたものなんだが、こっちでは使う機会もないからねえと言っていたものだ。せっかくだから使ってねと渡す。
ジェンからもらったのは同じくバッグだった。お互いに同じことを考えていたようだ。やはり収納魔法とかがあると無くてもいいんだけど、気分の問題だね。
今年はせっかくだからとお雑煮のようなものを作っていた。うちのお雑煮はレンコンやゴボウや白菜などの野菜がいっぱい入った鶏ガラのスープで作る物なんだが、似たような感じになんとか仕上げることができた。
いろいろな野菜がいっぱい入っているので一杯でおなかがいっぱいになる。ちなみにお餅はそれほど取り扱いはないのだが、普通に売っていたタイガ国でちゃんと仕入れてきていたので問題は無い。
朝食をとった後は今日は一日家でゆっくりと過ごす。夕方には同じ建物の人と新年パーティーをやることになっていたので参加すると、全員ではないんだが、8割くらいの人が参加していた。
自分たちが入居した後も2回ほど入居者が変わったので歓迎パーティーが行われたりしていろいろと交流はしている。まあ普段は挨拶をするくらいなんだけど、一緒にバーベキューをしたりとかいろいろと催しをやったりもしている。
さすがにいないのに家賃を払い続けるのももったいないので旅に出るときには宿は引き払わないといけないよなあ・・・。まあそのときはまあそのときだ。収納はできるから荷物とかも気にならないからねえ。
翌日はクリスさんの家に行ってパーティーとなった。自分たちの他には王家の剣のメンバーとよく知った冒険者の数名だけなので気を遣わなくていいのはありがたい。王族の人達はさすがに挨拶関係で動けないらしいからね。
「スレインさん、かなりおなかが大きくなって来ましたね。大丈夫ですか?」
「ああ、やっと落ち着いてだいぶ楽になってきたところだ。イントはまだちょっとしんどそうだけどな。」
スレインさんとイントさんの二人が妊娠したことがわかって少しおなかが目立ってきていた。自分たちの結婚式のちょっと後で妊娠したのがわかったらしい。今年の4月頃には生まれるようなことを言っていた。
「こんな状態だから体を動かせなくてな。正直なところ体がなまってしょうがないんだ。」
「子供が生まれるまでは無理しちゃだめですよ。」
「そうそう、スレインは隙を見て体を動かそうとするからな。イントはこれ幸いとだらけすぎているのも問題かもしれんが・・・」
クリスさんがやってきてちょっと不満を言っている。
「二人とも経過が順調そうで良かったですね。」
「まあな。おまえ達はまだ子供は考えていないのか?」
「ええ、今のところ冒険者としての活動が楽しいですからね。1年近くいろいろと鍛錬していたのでもう少ししたらまた旅に出ようと思っているんですよ。」
まあよく言われるんだが、子供はできないと思うからねえ。
「そうなのか。まあ無理だけはするなよ。」
「安全第一でやっているので無理はするつもりはないですよ。それで今はどこに行くかと色々と調べているところなんです。」
このあと国内や他の国の状況など色々と聞いて情報を集めていく。ナンホウ大陸についてはスレインさんたちから色々と聞いて見たが、最近の情報ではないのでなんとも言えないらしい。このあたりは王家の剣やクリスさんたちが詳しいんだが、あまり詳しくしゃべることはできないのが残念なところだ。
夕方からはカサス商会にも顔を出していく。カサス商会のお店としてのパーティーではなく、ごくごく身内だけのパーティーなのでこっちもそこまで気を遣う必要が無い。少し商売の話もしてからおいとまする。
どっちにしろ動くことができるのは雪がなくなってからだからまだ先の話だな。ナンホウ大陸かタイガ国に行くならオカニウムからの船旅になるし、トウセイ大陸に渡るならルイサレムからの船旅だ。アルモニアだと雪がなくなるのが遅くなるのでもっと後になるからね。
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