152. 異世界782日目 王都に帰還

 時間も結構遅くなっているので、すぐに撤収作業を整えてサクラに戻ることになった。サクラの門には行列ができているが、通常とは違う門から中に入ってそのまま王宮へと向かう。

 先に連絡が行っていたのか、国王陛下が待ってくれているみたいで、すぐに部屋に通される。一緒に第二王妃殿下もやってきていたんだが、思ったよりも元気なクリスさんたちの姿を見てほっとしたようだ。


 詳細はまたクリスさんたちから説明してもらえると思うので、簡単に起きたことを説明する。一通りの説明の後、個別に報告があるため、国王陛下にお願いして他の人には退出してもらう。みんな何かあるのだろうとすぐに納得してくれたので助かった。

 今回の件について話をするかどうか悩んだんだが、結局封印された遺跡について話しておかないと逆に色々調べられて話が公になってしまうと思って話すことにしたのだ。こればかりは国王陛下を信じるしかないだろう。


「今回見つかった遺跡にあったものですが、古代ライハン語で記載がされていました。この内容はおそらく王家に口伝で伝わっていたという話ではないかと思います。」


「遺跡の封印の話か?」


「はい、全部の解読ができたわけではありませんが、古代文明を滅ぼしたと思われる兵器が眠っているようです。」


「まことか!?」


 さすがにかなり驚いているようだ。


「実物は遺跡の中に封印されていましたので正直どんな物なのかはわかりません。ただそのように書かれていました。おそらく古代ライハン語の一部を解読してその内容を見た王家が封印したのではないかと思われます。」


「そうか・・・。」


「この内容は同行した人達にも話していません。また扉は王家の人達にしか開けられないようになっていましたが、鍵自体は古代の遺物ではないようなのでなんとか壊すことができて入ることができるのではないかと思います。

 出入り口は再度簡単に埋め戻していますが、今度またあそこに行って封印しておかなければならないと思います。その際には王家の方の協力が必要ですのでクリスさんにも同行してもらわないといけないと思います。」


「手間をかける。他のものに行かせるわけにもいかないので頼むぞ。同行メンバーには今回のことは口外しないように言っておこう。おそらくあのメンバーなら大丈夫だと思うがな。」


「このことは公にはしないと考えていいのですね?」


「もちろんだ。”過ぎたる力は己を滅ぼす”というのは我が王家で常に言われていることだ。それを考えないものは王家を継ぐことはできん。」


「ありがとうございます。」



「あと、今回の依頼を受けた際にお借りしたお金ですが、思ったほど使わなくて済みました。1000万ドールお借りしましたが、おそらく使ったのは20万ドールくらいだと思います。先に話しましたように必要経費と言うことでお願いします。」


 そう言って100万ドールの硬貨9枚と10万ドールの硬貨を1枚だす。


「そのまま受け取ってもらっていてもよかったんだがな。」


「いえ、そういうわけにはいきません。報酬は特別依頼の分で十分です。」


「わかった。依頼の完了証明は後で手配しよう。そこでお金も返金してくれ。」


「ありがとうございます。それでは失礼します。」



 部屋の外に出ると、クリスさんたちがまだ待っていた。このあとすぐに結婚式の準備に入るようだ。


「遅くなってしまったが、結婚式の招待状だ。誰かに預けてもよかったんだが、せっかくだから直接渡したくてな。遅くなってすまん。」


 二枚の招待状を渡される。なんかかなり豪華な招待状だな。


「いえ、大丈夫ですよ。」


「もちろん来てくれるんだよな?」


「そのためにサクラまでやってきたんですから、これで呼んでくれなかったら悲しいですよ。」


「それもそうか。」


 お互いに笑って話しているけど、こんなに笑って話せるってほんとに無事でよかったよな。




 このあとまた家族で話をするようだ。自分たちは窓口に行ってお金の返却と依頼の完了証明証の発行をしてもらう。一通りの手続きを終えてから王宮を出て宿屋へと向かう。


 宿屋にはしばらく留守にすることは連絡していたので問題は無い。話をしていると、何やらお偉いさんのような人がやってきた。「少しだけお時間を下さいませんか?」と言われて応接室のようなところに案内される。

 どうやら遺跡でクリスさんと雑談しているときに宿が空いていないことを話していたんだが、そのことをクリスさんが連絡してくれたらしい。それで今予約できていない5日前からは特別室を使ってくれと言うことだった。

 値段が気になったんだが、”結婚式に招待したのだから宿泊費は気にしないでくれ”という伝言があったみたい。そういえば、こういうホテルはVIP用に特別室をある程度空けているとか聞いたことがあるな。まあせっかくなので言葉に甘えることにしよう。


 ありがたく使わせてもらうと話すと、さすがにクリスさんから直接連絡があったこと、結婚式に招待されていることからかなりのVIPと思われたみたいで、クリストフ殿下にもよろしくと言われてしまった。そう言われてもねえ・・・。


 今日から部屋を移動されるかと言われたけどさすがにそれは辞退させてもらった。5日分だけで十分です。



 部屋に行くと、なんか部屋が今までよりもちょっと豪華になっていた。家具とかはそのままなんだけど、置いているタオルとかシーツとかの質がよくなっている感じだ。しかもフルーツとかまでおいてあり、”ご自由にどうぞ”とメッセージが添えられていた。なんかすでにVIPになった気分だ。

 ほんとはゆっくりお風呂に入りたかったが、さすがに今日はゆっくり休みたかったので浄化魔法で済ませることにする。ベッドに入ると速攻で眠りに落ちていった。

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