85. 異世界391日目 オークションへの参加と結果

 今日はオークションが開催される日だ。オークション会場では誰が落札したか分からないように確認が終わった人は仮面のようなものを付け、服の上からガウンを掛けるようになっている。

 仮面も意味あるのか?という仮面舞踏会のような目を隠すだけのものではなく、視覚妨害の機能の付いた仮面なので基本的に分からない。ここではすべて番号で呼ばれることになる。



 2日前にオークションに出品されるものの下見が開催されていたのでそれに参加してある程度目星はつけている。建物では盗難防止のために魔法関係や収納バッグが使えないようになっていたんだが、鑑定はできたので助かった。さすがに鑑定までできないと真贋がはっきりできないからね。


 ミスリルやオリハルコン製の装備でそれも良レベル以上のものなどかなりいいものもあったが、値段的に無理だろうなあ。まあこれらの製品で並階位とかいうのがそもそもないんだけどね。

 一般的に価値があると理解されているものはおそらく無理だと思われるので、もし落札するとしても鑑定とかでもよく分からないものなどにターゲットを絞った方がいいだろう。


「どう?何か手に入れたいものはあった?」


「いいものは多いけど普通の鑑定でも分かるくらいだから安く買うのはおそらく無理だね。とりあえず使い道がわからないものもあるけど古代遺跡の異物をいくつか狙ってみるよ。」



 ちなみに自分たちが出品しているお酒はいくつかの種類別に10本ずつの出品となっていた。参考として渡していた試飲用のお酒は鑑定の人たちも飲んだらしく、参考意見としてコメントが書かれていた。

 同じ年代物でもさらに熟成が進んでいると考えられ、製造年からも100年以上経過しているのは間違いないだろうと評価されていた。ただし、ものによってはダメになっている可能性もあることは理解した上で入札すべきであると注意書きもあった。




 オークションが始まりいろいろと出品されていくのでいいものがあったら購入を考えていたんだが、やはり値段が高くてなかなか手が出ない。最初の価格の段階で諦めなければならないものが多いのはどうしようもない。スタートが100万ドールを超えていたら話にならないよ。


 一応チェックしておいた武器や防具に入札はしてみるが、あっさりと上を行かれて断念するしかない。

 まあ上階位の冒険者でミスリル装備とかは贅沢すぎるか。スレインさん達も持ってないからね。クリスさんは持っているけど。


 収納バッグは5キリルの物が出品されていたが、かなりの価格になっていた。5キリルで500万ドールちかくになっていたからね。



 いよいよ自分が出したお酒の順番となった。ワインについては正直年代的な希少性のみと言う感じのようだ。古いものなのでダメなものもあるかもしれないという前提でのオークションである。

 まあ数万ドールになればうれしいと思っていたんだが、なんか値段がどんどん上がっていく。味はともかく希少価値なんだろうか?

 やはりお酒の種類によってばらつきがあるようだが、最初の10本の価格が8万ドールってどういうこと?後半ほどいいお酒を入れていたのか、どんどん値段が上がっていく。最後の10本は158万ドールとか値段がついていたし。

 周りの声を拾ったところ、どうやらその中には幻と言われるお酒が混じっていたようだ。ジェンが2本確保しているやつだな。お酒の情報は後で確認しておいた方が良さそうだ。


 結局、お酒は全部で400万ドール越えという、しゃれにならない金額になってしまった。うれしいけど、ちょっと怖いよ。手数料として10%はとられるが、それでも十分な収入だな。


「ジェン、この間確保したお酒の中にあの高いのがあったよね?」


「あったけど、売らないからね。」


「一本50万ドール超えるくらいだよ。」


「売ってしまったらもう二度と飲めないってことじゃない。いやだからね。」


「まあ、お金にそんなに困っているわけじゃないけどねえ。」


 まあ予想通りの反応だけどね。二本で良レベルの装備になるんだけど、まあしょうがないか。まあどうしようもなくなったらジェンもわがまま言わないだろう。



 気になった古代遺跡の遺物は使用目的が分からなくても収集したがる人もそれなりにいる。金額はあってないようなものなのでのみの市で安く売られていることもあるが、オークションにも出てくることがあるのだ。

 古代遺跡から発掘されたケーブルのスタートは1万ドールからのようなんだが、通常は5万ドールまでは行かないらしい。

 入札する場合は番号札をあげていくのだが、一度確定してしまった場合には支払いは確実に行わなければ色々と罰則がある。参加の際に最低限のお金を提示する必要があるのもそのためである。今回は商会が保証してくれたのでいらなかったけどね。


 自分の他に3名ほど入札していたんだが、そこまで競ることもなく3万5千ドールで落札できた。ケーブルとしてそのまま使用できるが、このままだとそんなに効率が良いものではないのでそこまで貴重なものではないようだ。

 全部で20キグムくらいらしいので車を買ったら配線し直すのに良さそうだ。ミスリルとかどうしようと思っていたからちょうどよかった。

 島から持って帰ってきた配線を参考におそらく酸化されたものを元に戻せばいいと思っている。どのくらい効率が上がるのかはやってみないとわからないけどね。


 他にも使えるかどうかわからないがいくつか気になるものを落札しておいた。まあどれも数万ドールだから買っておいて問題ないだろう。



 一応目星をつけていたものは落札できたし、装備品とかの大体の価格も把握できたので参加してよかった。


 スミエラさんに同行してもらって支払いを済ませてから出品したものの落札金を受け取る。一気に金持ちになったが、装備のためにお金は貯めていかないといけないね。



 いったんカルミーラ商会に戻ってから少し話をしてお店を後にする。また何かいいものが手に入ったら手続きとかはやってくれるようだ。ありがたい。




 今日は結構な金額を手に入れたので祝杯を兼ねてちょっと贅沢に食事をすることにした。最近は結構高めの店で食べていたのでサクラを出た後のことが心配だけどそこは割り切るしかないな。


 さすがに高くて遠慮していたお店はフレンチのような料理のお店だ。一人1500ドールからとかなり高いが、せっかくなので4000ドールのコースをお願いする。

 スープにサラダ、鶏肉のようなものに牛肉のようなものを使った料理で美味しかった。巨鰐や巨角牛の肉らしい。どちらも良階位の魔獣なのか。ジェンは今日もワインを飲んでいる。飲みすぎないように注意したが、これはダメなパターンだな。


 食事を堪能して宿に向かうが、やはり少し酔ったジェンに絡まれる。やれやれ。今日は浄化魔法だけでさっさと着替えて眠ることにしたんだが、着替えの途中でジェンが絡んできたせいで大変だった。いや、眼福だったけどね。

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