第10話:ブローディアの正体

 様々なゲーマーが衝撃を受けた動画、そこには衝撃のプレイヤー名が表示されていた。その名前はブローディア、あの都市伝説の人物だったのである。


「まさか――?」


 動画の内容を見て驚いたのは、ビスマルクだ。この人物がブローディアとは気付いていたのは、彼女を含めてごく少数。


 プレイヤーネームだけでブローディアと名乗っているゲーマーは複数いる。その中で、あのブローディアと思ったのはビスマルク位だった。


【遂にブローディアの正体が判明したのか?】


【本当に存在するかも疑わしい気配だったが】


【しかし、炎上勢力のフェイクニュースと思ったら――】


【信じがたいな】


【まさかの正体だったかもしれない】


 様々なつぶやきも拡散する中で、ブローディアの正体が判明したのだ。プレイヤー名がブローディアなだけであり、都市伝説のブローディアとはつぶやきを拡散しているユーザーも分からない。


 そう言った事もあって、拡散している側は半信半疑である事が多かった。下手をすればガーディアンが炎上と認識し、大量摘発もあったからである。



 案の定だが、一部のユーザーが炎上させた事で大量摘発の流れになったのは翌日の事である。その日は八月十三日、あるプレイヤーがオケアノスに現れた日でもあった。


「アレが噂のゲームか」


 パーカーのフードを深く被り、素顔を隠した人物がニューリズムゲームエピソードのデモムービーを見ていた。


 この人物は不審者として通報されていたのだが、スタッフもガーディアンも動かない。


 それに苛立ちを覚えたある人物が、パーカーの人物に詰め寄ろうとする。しかし、それを止めたのは――。


「SNS上のウィキサイトで記事荒らしをしていた人物だな」


 該当する不審者を引きとめたのは、何とガーディアンである。つまり、一連の通報は全て犯人をおびき寄せる為に利用されていた事になるだろう。


「ガーディアンだと?」


 ガーディアンに呼び止められた人物は、パーカーの人物がブローディアだと考えていた。そして、その正体を晒して炎上させようとしていたのは間違いない。


 一連の事件を操っていたのが、まさかバズり目的でSNSを炎上させていた百科事典の記事荒らしユーザーだったとは。


 それを一斉摘発する為に用意されたのが、ニューリズムゲームプロジェクトだったのかもしれない。


 もしかすると、これらの事件が起きるのは『ヴァーチャルレインボーファンタジー』の段階から想定されていたのだろう。


 SNS炎上でコンテンツの価値を下げる勢力の存在、それらの勢力を『核兵器』と明言し、廃絶を訴えたアーシック・レコードの目的は全て達成されたのだ。

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