第31話【拝啓〜長い時を共に過ごした君へ〜】

あれから2日が過ぎた頃、ライチとナロルがやって来た

2人は走ってきたのか汗だくで息を切らしている

「ワタは……」

ライチはとにかくワタに会いたかった

「ワタはこのお城の一室に眠っているよ。とりあえず葬儀は明日にでも……」

ヨルナミはライチを城で1番豪華なお部屋を案内した

「この部屋のベットに眠ってるよ。毎日体は拭いてるから綺麗な状態だと思うけど……そっと見てあげて」

ライチは恐る恐るワタに近づき顔に布が被さっていたのでそれを退かしてみる

そこには安らかに眠るワタの顔があった

「ワタ……起きてよ……一緒にいる約束じゃなかったの……? ねぇ! 」

呼び掛けには何も反応をしなかったが綺麗な光がライチを包み込む

ワタの声が聞こえた

「お姉ちゃん……俺のことは忘れて……今はタトイヒ国の政治を……」

「ワタらしいね」

ライチは独り言のように周りからは見えたがワタと最後の会話を終え、ヨルナミの前に立った

「ワタはどんな最期でしたか? あなたを守ったのは分かりますけど、具体的に教えてください」

ヨルナミはライチの言う通り全てを話した

ライチは頷きこっそりと部屋から出ていってワタと2人の空間を作った


「こうして、2人きりでゆっくりと話すのはあの頃……初めて会った時以降だね。それからはキロルが居たりとかもしたから……ワタ、僕らはこれで一旦お別れだけどまたあっちで会ったらキロルとワタと僕でまた笑おうね。僕はひとつ約束をするよ。音楽を世界に広めるよ。まだ世界は戦いで溢れてると思うけど、ある事でどんだけ良くなるか……だなら……約束するよ。約束が果たせたら……そっちに行くよ。また向こうで出会ったらご飯食べよう……今までありがとう」

ワタにお礼を言うとヨルナミは出ていった

その翌日予定通り葬儀が行われる

彼の葬儀は野外で行われ、雲が多くあった日だった。生前の明るい性格とは裏腹にいつになく悲しみに包まれている雰囲気で執り行われた

ワタが国に追われる前に仲良かった人やノルト教の信者も参列し、別れを惜しんだ

ワタの棺は花でいっぱいに彩られ、とてつもなく鮮やかだった

ヨルナミは彼の喪主として見送る事になっている

ヨルナミは葬儀が終わり挨拶をする

「僕は彼の相棒です。僕を庇い、亡くなりました。でもこれはからの意思であると思います。なのでこの命は大切にし、音楽という物を世界に広めて行きたいと思います。これは……彼に向けて描いた曲、鎮魂歌です。僕と彼の話。聞いてください……You are the my best buddy」

ヨルナミはバタバタしながらも必死に新しく作ったギターを弾き始めた


That night

僕を助けてくれた

That day

君が押してくれた押してくれた背中

共に成長しあった

ENDLESS Road

それら日々は君と僕の永遠のbonds

共に目指した高みへと

転んで転けて転がって

僕は君が居たから乗り越えれた

You are the my best buddy

I walk the eternal way

Tomorrow without you

みんなで笑って微笑んだ

かけがえのない日々を歩んだね

仲間が1人無くなってまた一人

どれだけ涙を流せば君を忘れられるのかな

君らのことが忘れきれない

悲しみの行きどころのない路(みち)が

僕の頬を濡らした

傷つくことが分からなくなった

それでも同じ道を歩んだよ

君と僕の永遠のbonds

君の事を忘れない

君の事を忘れたくない

もう1人で歩けないとは思わない

かけがえのない時と笑顔が甦り

僕は誓うよいつまでも

You are the my best buddy


曲が弾き終わり辺りを見渡す

すると幻聴かもしれないがワタの声が聞こえた

「相棒、しっかりしろよ! 」

これが聞こえた最後の声だった

でも、僕は挫けずに頑張るよ

空は晴天に見舞われとても青かった

ワタは天国に旅立って行ったんだな。ずっと言ってるけど……ありがとう

君の笑顔が恋しいよ。でも……約束を果たすその時まで




「ここは……天国? 」

綺麗な花が沢山咲いている場所に立っていた

辺りを見渡すと見覚えのある人がこっちに向かって走ってきている

見覚えのある姿だった。よく見るとワタとキロルだ

2人はヨルナミの前に立つとこう言う

「ヨルナミ。お前は凄いよ。今までお疲れ様」

ワタは手を差し出す

ヨルナミはその手を握り3人でまた約束のご飯を食べに行ったのだった

今まで起こったことを笑顔で喋りながら


奏剣絆戦 [完]

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