第18話【最終決戦】

2人はザンロに立ち向かっていく

最初は速すぎて見えなかったザンロの攻撃は何故か今はゆっくり見える

「おのれぇ……カス共に我の攻撃が当たらないだと……」

ザンロは更に弱くなっていた

「おのれぇぇ! ! !貴様ら! ぶっ殺してやる! 」

隠し持っていた力を取り出し更に体が巨大になっていく

「それは僕達のセリフだ! 」

ヨルナミとワタが翼を切り飛ばす

「何故だぁ……我は……我は……最強のはずなのに……」

想像以上の力に困惑し、思ったより力が出なかった

「何故だ……なぜ力が出ぬ……」

「あの時キロルが投げた水晶玉はお前の能力を抑制する力があったんだ! 僕はあの時、キロルから聞いたんだ」


キロルがナイフで腕を突き刺した時、耳元で「わいは国王から水晶玉を貰う。親父のをあいつが回収したからな。それの為の演技だ。自分の嘘に乗れ。投げたらあいつの力は弱まる。そして俺は死ぬかもしれない」

ヨルナミはキロルが死ぬ事を信じられなかったが、自分の嘘に乗るという言葉が引っかかった。……そうか、怒ればいいのか

ヨルナミはそうい判断しあんなことを起こしたのだ

ザンロを騙し、体を弱めることに成功したのだ

老化に近い現象が体を襲い、体力も消えてきた

「フォフォフォ……我は生き延びて……見せる……」

ザンロは闇に逃げようとする

それを見たワタは止めようと走り出し始めた

その時、キロルの言葉が聞こえる

「焔を体に纏え」

焔を身に纏う?ああ、キロルがしていた事か。なら、試してみるか

「焔よ、俺に付け! 命ならくれてやる! 俺は……俺はあいつらの仇を取らなければならない! 」するとワタの体に変化が起き始めた。キロルと同じ様に焔を纏うと髪の毛が山吹茶色染まる。そして、目の色が山吹色になる。キロルと違うのは色だけじゃなかった。キロルは自身に負担を掛けることにより、肉体や身体能力をあげ、体を強化するというのを行っていた。だから長時間の使用をしてしまうと体の自由が効かなくなったり、後遺症が残ったりとするのだ

ワタはこの状態になることにより、炎を出せ、操れるようになる。その炎は使いようによっては世界を破滅に導く程

ただ、その分副作用もあるらしいがまだワタにはその事は知らなかった

「ほぅ……出来損ないのお前が炎を使えるとはな……」

「お前の褒めごとなんて知らねえよ! お前の力じゃない。これは俺の力だ! 相棒やキロル。姉ちゃんと共に作った俺だけの力だ! 」

ワタの炎はどんどん強くなり、ザンロの炎以上に当たりを熱くする

「ワタ! 待って! 」とヨルナミが止めようとするが、ワタの耳には入っていなかった

「ワタ……」

ヨルナミは焔を剣に宿し、ワタみたいに体に纏おうとしたが何故か出来ない

どうやらまだヨルナミの精神力は焔には届いておらず、力が出ないそうだ

「くっ……何故だ……」

ヨルナミは戦いの様子を音でしか確認する事が出来なかった

目の前は大きな火の海。ここでギターを取り出すと燃えてしまう

ワタのためならこのギターも要らない。そう思えたが何故かこれはもう作れないと思ってしまい下手に取り出せなかった

「頑張って……ワタ」


「ザンロッ! これで二人きりになれたな」

炎の空間の中心に2人は居た

「クソガキが! 舐めるな! 」

サタンは自分の角を折り、それをワタに構える

その角はどんどん溶けて行き、変形していく。そして、角は剣の形になった

「我の最後の提案だ。命は取らずに置いてやる。無論、お前の仲間もな。我と一緒に世界征服をしないか? 勿論、世界の半分を貴様に分けてやろう。どうだ? いい条件だろう」

それを聞いたワタは怒りは遂に爆発する

それは火山が噴火する程に

「なら、何故俺らを殺そうとした! 伊吹さんやキロル。そう思うならば殺す必要はなかっただろうが! 俺はお前を殺すと決めたのだ! だからお前のそのくだらない提案なんかには乗らない。ぶっ殺す」

ワタは炎を出す

その炎はどんどん大きくなり、温度も上がっていく。そして、あの太陽よりも熱く、地獄の煉獄の炎よりも大きくなった

「くっ……自分が自分じゃなくなって行くみたいだ……もっとだ! もっと炎よ! 宿れ 」

ワタは自分の身を捨ててもサタンを殺すつもりだ

その時、声が聞こえた

「ワタァァァ! ! !」

それはヨルナミの声

「君が死んだら意味無い! キロルの分も、伊吹さんの分も生きるんだろ! なら自分の命を何よりも大切にして!」

それを聞くワタ。そして、幻聴なのか聞き覚えのある声が聞こえた

「ワタ。お前はわいらの希望だ。伊吹さんもわいも見守っているから……頼んだ」

ヨルナミの命を大切にしろという声

キロルと伊吹の希望という声

その声は力となりワタの炎を更に強化した

「これで最後だ! ザンロ!」

その大きすぎる炎はザンロに迫る

その炎は部屋の大きなシャンデリアおも焦がす

「フォフォフォ……我も最後か……だが、ワタ。お前はもう元には戻れない。お前が次の……」

その言葉を聞く良しもなく、ザンロは炎を焼かれ跡形もなく消滅をしてしまった

「勝った……? 」

ワタは周りを見渡す

だが、ザンロの姿は見当たらない

「勝ったんだ……」

ワタの体はどんどん色が抜けていく

「キロル……伊吹さん……終わったよ……」

「おーい、ワタ! 」

「おお! ヨルナミか。サタンは死んだよ。」

「これで2人とも安眠できるね」

2人が話しているとワタに異変が起きる

「ぐっ……うッ! ア゙ア゙ア゙! ! !」

ワタのいきなりの豹変にヨルナミは戸惑い始めた

「ヨルナミ! 殺せ! 俺が俺であるうちに!」

ヨルナミは状況が理解できなかった。モタモタとしているとワタの目の色は白色に変わる

「ワタ……? 」

ヨルナミがワタに声を掛けるが返事はなかった。逆にヨルナミに攻撃を仕掛け始めた

攻撃を弾きヨルナミはその事に動揺している時こう言ったのだった

「我は……焔なり……」

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