第11話【姉貴】

朝起きるとキロルが少し忙しそうにしていた

どうやら新しく修道女が入るらしい

その為に巡礼や儀式に使う聖杯の準備などをしないと行けないそうだ

「手伝おうか? 」とワタは聞くが「これは教祖の仕事だから」といって手伝わせではくれない

何しろ、2年振りの儀式らしいからキロルは張り切っているのだろう

教会の祈りを捧げる所に1人の女性がいた

とても美しく、髪の毛が綺麗な黄色に染まっていてとても長かった

教会では初めて見る雰囲気の人だったから、多分この人だな

でもよく見てみると何故か昔何処かで見たことがある様な気もした

ワタも気付いたらヨルナミの隣にいた

目を丸くしてワタは女性のところに向かい声をかけた

「お姉ちゃん? ! お姉ちゃんだよな? !」

お姉ちゃん? そういや、城を抜け出す時にお姉ちゃんみたいな事を言っていたような気がする……でも、どうしてここに……

「ワタ? ワタなの? そう! 私だよ! 」

ていうことは……やっぱりあの時見た人なのかな……

それでも一応、国から追われていることを思い出し、疑いあることを言う

「なら、本当にお姉ちゃんならあれ見せてよ」とワタはワタの姉らしき人物に質問をした

あれ? あれってなんだろう……

「良いよー! 」といい、ワタの姉らしき人物は手から炎を出した

凄く美しいものだった

手には収まっているがとても大きい炎だった

「やっぱり凄いな、俺にも出せるかな」

「うーん、分からない。やってみたら?」

といい、ワタの姉らしき人物は出し方を教え始めた

「息を思いっきり吸って手に力を入れる感じで、ブワッてしてみたら出るよー」

と適当に言うが、ワタにはそれが伝わったのか、試してみると少し手から火の粉が出た

「お姉ちゃんみたいにはならないか……」

「私も最初はそんな感じだったから、努力を続けることだね」

2人が話しているとワタはヨルナミが居ることに気づく

「おーい、ヨルナミ! こっち来いや」と呼ばれ、2人のところに向かっていく

「そういや、紹介が遅れたな。この人は俺の姉、ライチだ」とワタが紹介をするとライチは「ライチ・イヒ・タトだよ! ワタがお世話になってます」と丁寧に挨拶をする

「僕はヨルナミです。ヨルナミ=ユナミ。よろしく」

2人は挨拶を交わし、今までの事を話しているとワタは少し疑問に思った事を聞く

「姉ちゃん、なんで修道士になろうと思ったんだ?」

「あー、それはね。家出って言うの? そういう感じ? 」と笑いながら答える

「お父さん、ワタが出ていった事に対して相当怒ってたみたいでね。それでお前も裏切るのじゃないか裏切るのじゃないかってうるさくなって。殴って出てきちゃった」

どうやら、この兄弟。脳筋のようだ

とりあえず殴っとけば良いみたいに思っていそう……

「それより……大丈夫なんですか?国からとか」

「多分追われるね」とサラッと流すライチに対し、2人は逆に恐怖を感じた


しばらくの間3人で話しているとキロルが「準備できたぞ! 」といい現れた

3人が話している状況を見て、キロルは少し驚いた

「ライチさん、二人のことを知っているのですか?」とキロルは聞く。すると「ああ、俺の姉ちゃん。」とワタが言う

するとキロルは更に驚いた顔をした

「そうか……良かったな。」とキロルは適当に流した後、教会の灯りを消した

時間は六時課を過ぎていた

そしてキロルは祈りを始めた

「ノルト様……どうか我らに聖なる御加護を……」

祈りを捧げ始めたキロルの姿は七色に光包み込まれる

これが教祖の祈り……とても安心感がある……

そして、その周りにはとても大きなエネルギーが集まり始める

「God, come to my body」とキロルが呟くと七色の光は更に深くなり、目が眩む程強くなっていった

そして気付いたらキロルの光は止み、周りは花畑になっていた

何が起こったんだろう……状況を確認しようとしているとキロルが歩いてきた

「……キロル? 何が起こったの? 」と質問をすると「私は神だ。」という

「貴方様ですか? 修道士の道を志す者は? 」と言われる

「いいえ、あそこの女性です」とヨルナミはライチの所を示す

するとキロルが自称している神は「失礼……」と言いながらライチの所へと向かっていった

「貴方様ですか? 修道士の道を志す者は? 」とライチにも同じ質問をする

「はい。そうです」とこのことを理解していたのか、すぐに答えていた

「そうですか……なら、祈りを捧げなさい……」と言われ、ライチは祈りを捧げ始めた

「ノルト様……私をどうか受け容れ、あなたのような素晴らしいお方に近ずけるようにしてください。貴方様の平等愛の元、必死に励ませていだきます」と唱え始めた

唱え終わるとキロルは手を差し出し、そこにライチはキスをする。

「ライチよ……あなたは素晴らしいお方です。平等愛と共にあらんことを……」

「はい!」

「これからはシスターライチと名乗るが良い……修行に励み、一人一人に素晴らしい愛を」

キロルがそういうと辺りは瞬間的に暗くなり周りの花畑は消え、気が付くと教会に戻っていた

ヨルナミは灯りを灯してみる。すると2人は倒れていた

2人をベットに動かそうとすると、見守っていた信者が呼び止めた

「すまんが、そっとしておいてくれ。それがルールだ」と

ルールなら、仕方ないかな

なら、寝よう。そう思い、ヨルナミは自室に帰りねたのだった

翌日の朝、ヨルナミは目を覚ました

とりあえず外の様子を見に行こうも思い、廊下に出てみると昨日、気絶していた2人が目を覚まして話していた

これからの話をしていたという


ノルト教は人が皆平等であるという考えの元、活動をしている宗教だ

だから、人を殺したり生物を殺すのは勿論、信者や教祖を殺すのは1番の禁忌とされていた

シスターは1日2回、朝と夜に祈りを捧げる

それだけだった


「案外、軽い教えなんだね」

ライチは思っていたよりも軽いルールで驚いたがとりあえず頑張ろうと決めたよだった

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