第5話【1年間】
次の日の早朝、讃課の時2人は叩き起された
カンカンカンカン! ! ! ! !
「起きろ! 」
2人は金属を思いっきり叩く音に驚き、起こされたのだった
「眠いです……」
ヨルナミは少し弱気を吐くと伊吹さんがいきなり、パチン!と叩く
「ぐはっ! 何するんですか?! 」
ヨルナミは驚きを隠せなかった
しかも地味に痛いという
「眠いとか言うな! 次言ったらアバラ折るからな! 」
と少し脅された
この声、やる気だ。伊吹さんは多分スパルタだ。そう確信した
「とりあえず、剣を振るには筋肉が必要だ。鍛えろ」
といい、2人は筋トレを始めた
腕立てや胴体起こしなどの基礎トレーニングから始まった
最初は1日500回と始まったが日に日に増えていく
3日目には1日で5000回という10倍の数になっていた
この目標を達成できないとアバラを折るとまた脅される
アバラはいちばん機能を失いにくい骨だから、折ると脅されるのだ
それが1ヶ月続いた。ゆっくりしようと思った瞬間次は雲梯が始まった
普通に雲梯をするのは楽勝だが、甲冑を着せられてするのでとても辛いものだった
気を抜くと骨が折れる。そんな覚悟が必要だった
でも筋トレの成果もあったのか、少し楽だった
それでもとても辛かった。ワタが言うには城で仕事のついでに若者に稽古を付けていたという。別名スパルタの伊吹
マシューさんもそれの犠牲になり、一時期生死をさ迷ったという
嫌な予感しかしないけど……頑張るしかないか……
そう思いながら稽古に励んだのだった
雲梯も終わり、次は剣かなって思ったら
広い所に呼び出されて、岩を投げさせられた
とても重くて、1キロは平気で超えてるんじゃないのな
特には怪我もなく呆気なく終わった
早朝
「お前ら、走ってこい」
といきなり言われ、2人を外に放り出した
「あぁ…この辺はくまも沢山出るのに…」
と眠そうにワタは言う
そして、ヨルナミは剣が地面に置いてある事に気づく。
「この剣を使えば…くまを撃退できるかも…」
少し期待を抱き刃を抜いてみる
「えぇ…刃の部分がない…」
と少し絶望気味に言う
「この剣、刃が無いのか。やいばーい(やっばーい)」
「は?」
いきなり意味がわからない事を言うワタ。それに対して思わず変な言葉が出てしまった
「なんか…すまない」
謝るワタ
「とりあえずこの山を登るか…そして走って帰ってくる」
「頑張ろうな、相棒」
2人は山に登っていった
「これ!落とし穴だ!気おつけろ!」
と油断をしていると穴に落ちかける
「おっと、危ない。ありがとな」
という
そして、頂上に着く。
紙が1枚、丸太の上に置いてある
「なになに…刀を持って降りろ。この山はトラップが大量にある。気おつけろ、幸運を祈る」
つまり、こっからトラップだらけだということか
「ご丁寧に教えてくれたのか。少し優しいな、伊吹さん。」
ワタは笑っていた
最新の注意を払いながら山を降りることにした
笑っていたのもつかの間
「上から来るぞ!気をつけろ!」
上から岩が降ってきた
「下からもだ!気をつけろ!」
下にいきなり大穴が空いた
「斜め?!斜めからもだ!気をつけろ!」
斜めから弓が飛んできた
「今度は裏だ!気をつけろ!」
背後から剣が飛んできた
360度全体からとにかく色んなものが飛んでくる
僕達のことを#本気__マジ__#で殺りに来ているかのように色んなところから剣や丸太
ボロボロになりながらも何とか乗りきった
とりあえず目的は達成出来たから帰ろう
そう思いつつら歩いていると
ガサガサガサ
茂みから音が聞こえる
「なんか聞こえた?」
空耳かもと思いワタに聞いてみる
「うん、聞こえたぜ」
私も聞こえたのか
「まぁ、熊かなんかだろう。襲われたらどうにかするし」
と二人は手を取りあった
木の物陰で
「あいつら…強くなったな…吾輩が教えることはあと少しか、寂しくなるのう」
伊吹は悲しそうに独り言をいうのであった
その次に始まったのが瞬発力を鍛える訓練だった
受身を取ってから立ち上がる
「判断が遅い!」
伊吹さんは口癖のように言う
いつも投げ飛ばされては起き上がり、戦場ではこの判断が出来ないとすぐ死ぬという
流石に死にたくはないと思い、必死に起き上がろうとする
しばらくして、ワタはすぐに出来たものの、ヨルナミは地味に時間がかかった
それでもヨルナミは努力をし続けてようやくできるようになったのだった
そして、早く跳ねながら山の頂点に行く訓練
正直今までで1番きつい訓練かもしれない。
でも、この後剣術の訓練で地獄を見るのは思いもしなかった
その夜
この一連の筋トレが終わると伊吹さんが
「明日から剣の練習に入るからしっかりと体調を整えとくように」
と言われ、伊吹さんは寝床に向かった
ようやくキツい筋トレが終わった
そう感じるのも束の間。明日からはもっとキツイ剣の練習が始まるのだった
翌日
「これが剣だ。しっかりしとけよ」
と伊吹さんに言われた
剣の練習は思っていた倍以上にきついものだった
まずは振り方、持ち方を教えて貰った
最初から本物を持つのは危険と判断したのか、木の剣を持たされとにかく素振りをさせられた
最初は重いと思ったが筋トレの成果もあり、結構簡単に振れるようになった
「遅い!そんなに遅かったら!国にも叶わないぞ!」
剣を持った稽古が始まってからというもの、伊吹さんがさらに本性を明かしたのか、スパルタのようにきついトレーニングの日々だった
とにかく素振り、素振りだった
ある日、伊吹さんが木の剣を持ち
「吾輩に少しでも当てられたら本物の剣をやろう」
いきなり変なことを言い出した
「ワタ! 来い! 」
「分かりました」
ワタは伊吹さんに教えてもらった通りに振った
「遅い! 」
伊吹さんはそういい、ワタの持ってる木の剣を跳ね飛ばした
「え!?何が起こった!」
ワタは戸惑っている
そしてワタは思いっきりはね飛ばされた
全くついていけない……速い……少し恐怖を感じたがそのつかの間
「ヨルナミ!来い!」
ヨルナミは呼ばれたから向かっていった
「はい!」
伊吹さんに突進をしに行った
「遅い!お前は遅すぎる!」
気付いたらワタと同じように木の剣を跳ね飛ばさらた
「お前らはな!」
1時間程説教を喰らった
とても言葉は強く、辛かった
翌日も投げ飛ばされ、全く当たる気配もない。
それが1週間、2週間経っても。
1ヶ月ほど続いたある日の夕暮れ
「とりあえず、素振りを…」
ワタは半泣きながら素振りを続けた
「ヨルナミ、どうや?」
「僕は…いいよ」
テンションが下がっていたから断ろうとした
「馬鹿野郎!」
といい、ワタはヨルナミをぶん殴る
「何するの!?」
ヨルナミは少し困惑しながら驚く
「ここで挫けたら、誰がこの世界を救うんだ?俺らだろ!俺の前でもう二度とそんな弱音は吐くな!分かったな!」
「分かったよ」
「それでこそ相棒だ」
2人は手を取り合い、互いに弱い所を見つけ合い、教え合い鍛錬をした
2人はその後も、伊吹さんにボコボコにされながらも、振る練習をした
それから月日は流れる
最初はワタ。それに続いてヨルナミが伊吹さんに木の剣を当てることが出来た
「ふむ、合格だ」
「やった!」
と2人は喜ぶ
「もう教えることは無い」
と伊吹さんは言う
そして
「これがお前らの剣だ。お前らに合わせて作ったから振りやすいだろう」
と剣を貰う
軽い…
「ヨルナミ!この剣持ちやすいな!」
「ああ、でも僕のは…少しどっかで見たことあるような…」
「よく気づいた!これはお前が岩を割った時に出した剣だ。吾輩も初めて観たが、選ばれたものにしか持てないものであろう」
どうやら伊吹さんも知らない凄い剣のようだった
「何故、僕が選ばれたのですか?」
疑問に思い、聞いてみる
「剣は人を選ぶ。その人が剣を選ぶのでは無く剣がその人に合わせる。それがお前だったんだろう。多分、この剣はお前にしか振れない」
「ま、いいから頑張れ。剣は木の剣と一緒だからな」
伊吹は終わったことをべた褒めしているのか、凄く褒められた
こうして、僕とワタの長い1年間は終わったのだった
こう考えると少し短いようにも思えるが2人は共に成長しあった。
そう思える1年だったのだ
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