第31話 鬼と大ちんこの話【大地・ベッキー・おまあ・石橋】
小島と大地とベッキーが入部した秩父農工野球部の新入部員は24人だった。
この年は、埼玉でNo1投手の大地や中学の関東大会ベスト4の四番バッターが入部したこともあって、監督やまわりからの期待は大きかった。
小島のポジションはキャッチャーなのだけれど、中学でキャッチャーをやっていた新入部員は、小島以外に7人もいた。
つまり小島は7人のライバル達とレギュラー争いをすることになるのだけれど、大地とバッテリーを組むために「負けねぇ」とやる気満々だった。
そして、秩父農工野球部の一軍でキャッチャーをやっていたのは、ベッキーの兄で3年生の「おまあ」という先輩だ。
もちろん「おまあ」は、本名ではない。
おまあは、小島と同じ少年野球チームの出身で、小島が おまあと出会った時にはすでに おまあと呼ばれていたので、小島は正確な名前を知らない。
そして小島は、本人の前では一応「まあさん」と呼ぶけれど、陰では「おまあ」と言っていた。
そんなおまあは、少年野球チーム時代に「強肩おまあ」と呼ばれていて、埼玉3位に導いた立役者でもある。
なので小島は、少なくともおまあが引退する夏まで自分の出番がないと思っていた。
ところが、おまあの練習を見た小島は驚いた。
おまあは、イップス(投球障害)になっていて強肩どころか弱肩になっていたのだ。
そういったこともあって、入部して1か月経った5月には小島が一軍のマスクを被っていた。
そして6月には、4番を打つこともあった。
ちなみに小島は1年生の時、試合で10本のホームランを打っている。
さらに1年生で小島だけ上級生と一緒に遠征に参加したりと、これ以上ないくらい順調な滑り出しとなった。
遠征の際に、小島は先輩達から何度となく聞かされた話がある。
「夏の合宿に鬼が来る」と。
その鬼とは石橋さんといって年に一度だけ合宿の最終日にノックをしに来ると言うのだ。
小島には、話しがどこまで本当かわからないけれど、昔プロ野球の球団にノック専門で雇われていたとか、ミスしたら思いっきり尻をバットで殴られるとか、連続でミスしたらバットで頭を叩かれる、といった話を何人もの先輩から聞かされた。
特にキャッチャーには厳しいらしく「すでに一軍の試合でマスクを被っている小島には厳しいのは間違いないぞ!」と脅されていた。
噂は本当なのか?という不安と少しワクワクが入り混じりながら、小島は初めての夏の合宿を迎えた。
が、鬼の石橋に会う前に、小島は衝撃的な物を目にすることになる。
それは合宿初日の風呂場での出来事だった。
風呂場では、当然みんな裸なのだけれど、大地のチンコが缶コーヒーくらいの太さで亀頭もデカく…小島は、シュモクザメみたいだ…と思った。
驚きのあまり小島は「勃起したらどんくらいになんの?」と聞いてみた。
すると大地は「計ったら22センチあった(笑)」と答えた。
その日を境に大地は部員から「大地ンコ」と呼ばれるようになった。
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