賢者から怪盗に転職しました
レオナールD
プロローグ
①
異世界召喚――
それは多くの青少年にとっての夢であり、憧れであり、多くの場合には実現不可能な幻想である。
勇者になって魔王やドラゴンを退治して、麗しの姫君と結ばれる。
聖女になって人々を救い、大勢の男性達から愛の言葉をささやかれる。
戦乙女になって戦場に立ち、多くの敵を打ち倒して英雄になる。
賢者になって魔導を極め、永遠に尽きることのない知識の探求を行う。
そんな物語のような人生を歩むことに憧れた経験が、誰でも一度はあるのではないだろうか。
しかし、現実はそんなに甘くはない。
便利な文明の利器にあふれた現代社会から、中世ヨーロッパと同レベルの文明の世界に飛ばされて、何の訓練も受けていない人間がその世界に適合することができるのだろうか。
犯罪者やモンスター、魔王と戦い、己の手を汚してまで手にかけることができるのだろうか。
二度と家族や友人に会うことができない。二度と故郷に帰ることができない。そんな現実を受け止めることができるのだろうか。
大好きなケーキやラーメン、寿司やピザなど、贅沢な材料とふんだんな香辛料を使った料理を二度と味わうことができない。そんな環境に耐えられるのだろうか。
それを受け入れられる強い人間もいるかもしれない。
しかし、大多数の人間はすぐに元の世界に帰りたいと願うはずだ。
少なくとも――その四人は元の世界に帰還することを願っていた。
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