第4話 『私』

私自身、よく人には真面目だと言われる人間であるが、一体私のどこを見てそんな風に感じるのか‥とも思う。

チャラチャラしていることがぜんとは思わないが、あの振り切れる情熱はとても羨ましく感じる。


特に社会に出て、本来の自分を押し殺し、さながら対・会社用の虚像を作り上げながら生きている今ならなおのこと。

きっとこの考えにいなを唱える方は少なからず私よりも上手く立ち回れる人だろう。


そんな私は感情が表に出にくいらしい。

過去には「何を考えているか分からないから話しかけづらい」と面と向かって指摘されたこともある。


他人ひとの考えていることが分かったら、最早人間ではないと思うので、その神眼しんがんを使い、是非、人類の未来を切り開いていってほしいものだと思ったものだが‥といった性格の悪さを肯定するような、殺伐とした考えが脳内を巡るたび、自分の余裕のなさに落ち込む。


特に顕著なのが自分にとって難しいあるいは無理なことがあった場合、魔法の言葉「大丈夫」でいつも乗り切るのだ。

頭では白旗を振っていっても少しでも自身をよく見せたいがためにそうしてしまうのだ。

典型的な日本人気質である。

今考えると、その立ち居振る舞いが「真面目」に繋がっている要因かもしれないが。


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