荒地の領主〜捨てられた土地を再生
@korimo
第1話プロローグ
「最近流民が多くなっていないか?」
仕事帰りの居酒屋で突然幼なじみで門衛のケントが話しかけてきた。
「確かに南門からの流入が多いみたいだけど、この時期ではそんなに珍しいことでは無いはずよ」と王宮勤めの文官であるサエラが答えると
「そうでも無いんだよ。出稼ぎぐらいなら仕事先への紹介状なんかがあるのでわかるんだが、全く持たないで来るために城門の前に一つの町が形成されてしまっているんだ」
「確かにその状態では治安が悪くなるし、魔獣に襲われるのは彼らが先になるので、危険極まりないんだけど…クライ何か手立てはない?」突然俺に降られたが、もちろん俺にそんな権限も力もない。
「できるのは対策と原因について聞き取りをすることだと思うが、まずできることは
1.彼らに自衛できるようにある程度の高さまで柵を設けさせる。
2.水場の確保と畑を作ることについての許可を取る。
3.彼らの出身地を特定して出身地の現在状況確認。
とこんなとこか。あとは状況によって変わってくるんだが、何か聞いているのか?」と二人に聞くと
「元々収穫が少ない上にこの所旱魃の被害にあって税金が納められなくて逃げて来たって言っていた」
「私も似たようなことを聞いたわ。山の木材を勝手に切り倒したために水源の森が壊滅、旱魃になったって」
「これについて誰か陛下なり宰相殿なり陳情しなかったのか?」
「だめよ。王都についてはそれなりに進言できるけど、領主の権限で行われていることについては私たちは口出しができないの」
「仕方がない。俺が現状をクリフ殿下を連れて確認してくるよ」そういうと
「やっぱりクライに相談してよかった。一応衛兵長から騎士団へ陳情して宰相殿に掛け合うことになっているが、いつ裁定が降りるかわからないんだ」
そう言ってほっとした様子で二人ともエールの入ったジョッキを飲み干した。
さて、明日は殿下に予定を確認して南の領まで行ってみないとそう思いながら二人とかれて自宅へと戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます