第43話 体育 前編

午前中の授業も通常通りに受け残り一科目で終わりになる。

四限目は、ニクラス合同の体育の授業だそうだ。

なので、白崎さんも一緒なのだ。


「授業始まるぞ!早く集まれ!」


体育の先生が叫んでいるので、小走りで自分のクラスの列へ翔と一緒に並ぶ。


「じゃあ、今回の授業では男子はバスケ。女子はバレーボールをする。体育館の間にネットを引いて、それぞれ準備すること。準備が終わり次第、チームを作るように。一チーム五人で作ること。掛れ!」


とりあえず、先生が言ったとおりに各自授業の準備をする。

体育館の中央に、緑色のネットが引か男女で分かれる形になった。

まぁ、ネットなので向こうも見えるけどね?


ゆっくり作業していると、ほぼ準備が完了していた。

残りは、僕がバスケのボールを持っていくぐらいだった。


いやぁ…みんな準備早いね。

そんなことを思っていると、翔から声がかかった。


「隼人。チーム一緒になろうぜ。あと、適当に俺の知ってる奴誘っといたから。隼人が入ればちょうど五人チームなんだ。」

「うん。了解。」


翔が知ってる人を誘ってきたのか…。

まったくわからん…。

でも、翔が選んだ人だからいい人には間違いないか。


「とりあえず、よろしくね?」

「よろしくー」

「よろ~」

「よろしくです。」




「じゃあ、準備できたな?じゃあ、今からトーナメント方式で試合を開始する。まずはAチーム VS Fチーム」


「翔。僕たちのチームは何なの?」

「Cだな。」

「じゃあ、まだ先か…。」


そんなことを思いながら、女子がやってる方に目を向けると白崎さんが試合に出るところだった。


「白崎さんが出るんだ。」

「おう!本当だ。応援行くか!」


「なに!?白崎さんが出るのか?応援しなくては!」

「あぁ…。やっぱり可愛いな。」

「ネットが高くて白崎さんが余計小さく見える…」


おいおい。男子諸君。自分たちのクラスを応援しないと。

まぁ、僕が言えたことじゃないけど。


白崎さんの方に視線を戻すと、白崎さんと目があった。

白崎さんもそれに気が付いたようだったので、口パクではあるが『頑張って!』と応援した。

それが嬉しかったのか、すごい笑顔で笑ってくれた。


その笑顔を、ほかの男子生徒は俺に笑顔を向けてくれたなどと勘違いしていたことは言うまでもない…。

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