第9話 夕食
「白崎さんここが僕の住んでる家。」と呼びかけると、白崎さんからの返事がない。
白崎さんの方を見ると…白崎さんは驚いたように家の方を見ていた。
「白崎さん!白崎さん大丈夫?」
「はっ、大丈夫です!ここが高木さんのおうちですかぁ…!?」
白崎さんが驚くのもそのはず。
隼人が住んでいる場所は駅からすぐの超高層マンションのだからである。
マンションも4LDKと、とにかく広い。
そんな場所に高校生が一人暮らしをしているのだ。
「うん。そうだよ。驚かせちゃったかな?」
「正直驚きました…こんな大きなマンションに住んでいるなんて…高木さんのご両親はお金持ちなんですか?」
「違うよ。お金持ちなんかじゃないよ。アフィリエイト収入って知ってるかな?いわゆる広告収入なんだけど、僕はその収入で生活しているんだ。」
「そうなんですかぁ…高木さんはすごいんですね。遅くなってしまうので先に夕食準備しちゃいますね!」
「うん。おねがい。」
「お米ぐらいは準備出来るから僕が用意するよ」
「本当ですか!?助かります!」
「高木さん!もうすぐできるのでテーブルの用意して頂いてもいいですか?」
「了解。ご飯ももう炊けるからちょうどいいね。」
「どうぞ。肉じゃがです。お口にあえば嬉しいのですが…」
「じゃあ…いただきます。」と肉じゃがを一口食べる。
その瞬間、白崎さんが驚いた表情をし質問してた。
「高木さん!ごめんなさい。そんなにおいしくなかったですか?それともお口にあいませんでしたか?」
「えっ、そんなことないよ。すごくおいしい。とても。懐かしい味だ。どうしてそんなこと?」
「だって、高木さん泣いていましたから。気づいてませんか?涙が流れて…」
「あれ、ほんとだ。なんでだろう。この肉じゃが食べたら懐かしく感じて。涙が止まらないんだ。」
「高木さん!」と呼ばれたと同時に。僕は白崎さんの胸の中に顔を埋めていた。
「高木さん。泣きたいときは、泣けばいいんです。泣けばきっと楽になれますから」
そういう白崎さんの胸の中で大きな声で泣いた。どれくらい泣いたのかは覚えていない。泣いている間、白崎さんは頭を撫でてくれた。それが、とても暖かくそして心地よかった事だけ覚えている…。
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