incompetence fighter

マグロで制する海岸沿いbot R15

ランクE前編

第1話 無能

F県、そこはあまりにも弱い者が送り込まれるゴミ箱のような場所だった。そしてそこの学校には価値が微塵もないと言われている、無能力者がいた。



 俺は彩川あやかわ蓮、ぼっち学生だ。今、屋上に居る。何故か?俺は無能力者だからだ。これ以上は生きても無駄だから死ねと先公に言われたんだ。小学校3年の能力診断で親に捨てられて以来、俺はホームレスだ。バイトをして稼いだ金で食事、風呂。まぁ最低限の生活は出来ているが、コンプレックスに耐えかねたのだ。俺は学内で筋肉だけの糞と言われている。俺は精神面では弱かった、例え、肉体面では強くとも。


 そこで自殺を考え、贖罪に行くと訳だ。




 ここからは記憶がない。頭から地面に落ちたと医師が言っていた。

 医師は平等だった。生産性のない屑にも手を差し伸べてくれた。寧ろ、その方が良いとまで言ってくれた。


 俺は数週間で学校に戻った。院内でも筋肉トレーニングは怠らなかったので、さらに磨きがかかったと自分でも思う。



「おめぇなんで生きてんだ?」

 虐めっ子の明が睨んでくる。俺は無視して教室に入った。

「ダルマデカくなってんじゃんw」

 チ○コフェイスの男が俺を見て嘲笑う。

 俺は冷ややかに「退け。」と言って机に座った。


 担任が出席を取る。勿論俺を飛ばす。

 俺は死んでも尚、蔑ろにされるのだと気付かされた。



 そんな俺に転機が訪れたのは昼食の時だった。

 久々の飯だった。コンビニの惣菜というご馳走だった。

 が、チンピラ虐めっ子グループに絡まれて台無しにされてしまった。俺は怒りを露わにし、そのグループリーダーを殴ると蜘蛛の子を散らすように去っていった。



 放課後図書室に行くとそのグループがさっきよりも大人数で屯していた。

「てめぇ、さっきはよくもやってくれたな!」

 ガンを飛ばすリーダーに向かって、俺は

「良いのか?これでも親はF県政府の一員だぞ?」

 ハッタリをかます。

「あ゛?知った事じゃねぇよ。」

「俺ら敵に回したってのは自己責任なんだよ!」

 馬鹿にハッタリはあまり通じないのは分かった。

「はぁ〜(溜め息)。」

 舐めた態度を取って相手を苛つかせる戦法で行くことにした。苛立てば奴らの戦法は崩れる。どれだけ考えていようが、このタチの人間は自然と無闇に突っ込むゴリ押し戦法に脳が切り替わると予想した俺の戦法だ。

「やんのか⁉︎ゴラァ!」

 予想通り殴りかかってきた。俺は自分の拳をリーダーの男に突きつけた。

「グボァォ!」

 腹は凹み、口からは唾液と共に血が放出されていた。

「やれ゛!」

 リーダーが声を上げる。相手の作戦の決行を合図するようだ。どうやら戦法は崩れていなかったらしい。まぁ想定通りだが。

 ビリィィ!

 電撃が俺の首に当たる。スタンガンを突きつけられたのか?否、この世界には魔法がある。毎日図書室で読んでいた本には詠唱とやらが描かれていたが、この世界の魔法はそれを必要としていなかった。

 俺は少しよろめく。

 そこに畳み掛けるように魔法を撃ってくる。

 火炎魔法、水魔法、氷魔法と。色んな種の魔法が俺に炸裂する。

 しかし、俺には筋肉があった。

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