なにがすごいか

@gokoutouki

第1話



あるところにとても力持ちなお兄さんととても頭の良いお兄さんがいました。

二人はそれぞれ自分のすごいところを使いながら生活していました。

ある日とても力持ちなお兄さんはとても頭の良いお兄さんに

「なぁ、お兄さん実は昨日殿様がこの街におふれを出したって話は言ってたのを知ってるかい?」

「おふれ?なんのことだい?」

「いやいやそれがね、お殿様がね、自分の娘も良い年になったから夫をもらいたいから探してるんだってさ」

「なーんだ、そんなことかい。まぁでも俺らには関係ないことだなぁ」

「ところがどっこい、俺たちにも関係あるかもしれんのよこれが」

「どう言うことだい?」

「実はな、その探してる夫ってのが街の中の男誰でもお見合いできるんだそうだ」

「へぇ!そんなことがあるんかい」

「そうなんだよ、でその夫を決めるには一つ条件ってのがあってだな、この街で一番すごい人に娘をくれてやるんだと」

「すごい人?」

「あぁ、この街で一番すごい人だってさ」

「ふ〜ん、でそのすごい人ってなにがすごい人なんだい?」

「え?」

「だから、なにがすごい人なんだいって」

「なにがってなんのこと?」

「なんのことがすごい人かってことだよ、例えば君みたいにとても力持ちな男の人はすごく力がある、向かいのお姉さんすごく美しい、とかなにがすごいかがあるだろう、それだとなにがすごいのがいいのかわからないじゃないか。」

「うーん…確かにそうだなぁ、なにがすごいのかがわからないな、なにがすごいんだろう?」

「やっぱり、すごいといったら頭の良さじゃないか?娘さんと一緒に生活するのには頭の良さにはなんにも変えられないからね!」

「そうかぁ?俺は頭の良さよりも力の強さだと思うなぁ、やっぱり獣を捕まえるのにも力が一番いるし」

「なんだと⁉︎頭の良さの方がいいに決まってるだろ!第一今言ったこと俺のことをバカにしてやしないか?」

「バカにしてるだなんてそんな、今は力があった方が良いんだぞって言ってるだけだぞ!」

あーだこーだそーだどーだとお兄さんが熱くなりながら言い合っていると向かいの家からお姉さんが出てきました。

「ちょっと!どうしたんだいこんな朝から言い合いして!うるさくてよく眠れないじゃないか!」

「あ、お姉さん!いやね、僕らのどちらがすごい人かを話し合っていたんだよ。」

「話し合う?おめーはさっきから自分の自慢ばっかじゃないか!」

「なんだとそっちこそ同じじゃないか!一番すごいのはあ、た、ま、の、良さ、だ!」

「いーや力、の!強さだ!」

「あぁ、もう、うるさーーーーーい!!!!」

お姉さんの鶏のように大きな声が男二人を静かにしました。

「少しは冷静になりなよ!立派な大人だろ!」

すると頭のいいお兄さんが

「そうだ!お姉さんにどちらがすごいか決めてもらおう!」

と言うとすごく力のあるお兄さんも

「そうだ!それがいい!お姉さんお願いだ、俺らのどちらがすごいか決めてくれないかい?」

二人のお願いを聞いたおねいさんは、すこし考えたあと

「いいよ、ただし決めたらもうこれっきり言い争いはなしだからね。」

「わかったよ。早く決めてくれ。」

おねいさんは息を大きく吸い込み大声で

「どちらも凄くない!」

「なんだと!?」

「どちらも凄くないってどういうことだ!?」

困惑しているおにいさんふたりにお姉さんは言いました。

「いいかい、私はなにが、すごいのかをいってないんだよ。私の中ですごいと思うのは男のかっこよさだそれを比べればどちらも凄くはないね。」

「第一なにがすごい、どれがすごいってのは相手に言われてすごいってわかるんだよ?

お前たちも、他の人に言われて自分がすごいとわかったんだろ?

なのに自分がすごいとかなんだ。言い争ってたらなんなんだい⁉︎」

「むしろそんな、ことで相手を蹴落とし合うなら協力して補えばいいだろう?」

その話を聞いたお兄さんたちは少ししょんぼりしながら

「すまないことをしたな」

「いいや、こちらこそだ」

そしてお兄さんたちは助け合って生きて生き幸せになりましたとさ

めでたしめでたし

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