魔法少女になりたかったのに!

今福シノ

プロローグ

 雲ひとつない青空を、ふたすじの光が飛びう。


 ひとつは、魔法少女。

 もうひとつは――彼女の敵、悪の組織の女幹部かんぶ


 それらはめまぐるしく交錯こうさくし、空を縦横じゅうおう無尽むじんめぐる。


「はあっ!」


 かけ声とともに、魔法少女はビームを放つ。


「ふっ!」


 それをかわす、悪の女幹部。


「お返し……よっ!」


 そうさけぶと、真っ黒な光線が魔法少女めがけて飛んでいく。

 だけど魔法少女には当たらない。


 お互い、死力をくした戦い。それゆえに、遠慮えんりょはなく、全力で向かい合っている。


「はああああっ!」

「てやあああっ!」


 光は螺旋らせんを描き、高く、高くのぼっていく。

 そして――ふたつの光は、ぶつかった。



 そう、これは。

 私が日常を離れ、魔法少女として悪と戦う運命に身を投じる物語。


 ……だったらよかったのになあ。

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