悪魔との契約16

私『悪魔よ! 我が願いを叶えてくれ!』


悪魔『それなりの代償をいただくが、構わないかね』


私『私は未来が知りたい! だが、いちいち未来などに行っては、どんな危険が伴うか知れない! だから、私は未来を見とおせる眼が欲しいのだ!!』


悪魔『良かろう。ここに契約は成立した』


 悪魔は口角を吊り上げ、霧のように消えてしまった。


 こうして私は、未来が見える眼を手にいれたのだ。

 どんな人の未来だって、見通せる。


私『もう、こんなものを見せないでくれ!』


 人は誰しも、いつか死を迎える。

 形あるものは、いずれ崩壊する。

 未来を見通す眼は、見た人の死にぎわや、廃墟、残骸ばかりを、その瞳に映し続けた。




 気が狂いそうになった私は、ひたすら祈った。

 朝も、昼も、夜も。

 どれだけ繰り返したか、もはや定かではなくなった頃、まばゆい光が私を包んだ。


天使『あなたの望みを成就しましょう』


私『おお、御救いの手を、神が差し伸べてくださった! 天使よ! この忌々しい眼から、私を解放してくれ!』


天使『承りました』


 光と共に、天使は消えてしまった。


 ーーーそして、私は未来をみた。


 機体から爆炎を上げ、コントロールを失った飛行機が、我が家目がけて突っ込んでくる映像だ。


 無残な死の光景の中には、死という安寧に抱かれた私も含まれていた。


私『ああ、安心したーーー

 

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