幼馴染の知らない間に僕と先輩のミルクティーは目合っていた
九条蓮@MF文庫J『#壊れ君』発売中!
1話 生徒会室で僕は手錠を掛けられていた
舌と舌が絡み合っていた。ぴちゃぴちゃと、唾液が交わる卑猥な音だけが、生徒会室に響き渡る。
みんなの憧れの生徒会長・ユウミ先輩が、普段の高潔なイメージとは全く別の表情をして、椅子に座っている僕に跨っていた。
彼女の舌は、僕の口の中のものを全て吸い取ってしまうんじゃないかと思うくらい妖艶で、優しくて、僕の全てを蹂躙していた。
(生徒会室で何やってるんだ、僕は⋯⋯)
そんな事を一瞬思うが、柔らかい舌先が僕の舌先を悪戯につついてから、また絡み合ってきて、思考を中断される。ユウミ先輩の口からわずかに流れてくるミルクティーの香りと味が、切なくて、甘くて⋯⋯身体中の血液が巡り巡って、気が狂いそうだった。
ユウミ先輩の長い黒髪が僕の頬を擦れて、少し痒い。でも、そんな事どうでもよくて、脳みそがとろけそうになるくらい甘美さに思考を支配されて、もう何も考えられない。
僕は誰かと約束をしていたはずなのに⋯⋯その笑顔が大好きだったはずなのに⋯⋯その笑顔どころか、顔も思い出せなかった。今目の前にいる、ユウミ先輩に全てを満たされてしまっていて、他の事がどうでもよくなる。きっと、この両手が自由だったなら、僕は、先輩を力いっぱい抱き締めていただろう。
でも、僕にはそれができなくて、この手錠が、これほど邪魔になると思ってなくて、外してくれと懇願したくなる。でも、先輩の唇に口を塞がれていて、僕は何もできず、ただ、先輩の口付けを受け入れるしかなかった。
(どうしてこうなった⋯⋯?)
僕は、蕩けそうな意識の中、ほんの少し前の事を、何とか思い出そうとした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます