第1話 「冒険者たちははなるべくして奴隷になった」

 ソードワールド2.0!

 まさに王道ファンタジーTRPG!

 ゴブリンを倒して村を救い、囚われのお姫様を救い出して無事に王国へ送り届ける。

 そんなイメージを抱いていた下げ友を尻目に、劇辛党からの不穏な発言。


 何か始まる前から嫌な予感しかしないのは気のせいなのか?

 ソードワールドってそんな感じだったっけ? マジで。




GM:じゃあ、みんな準備はいい?


マリリン:オーケーでーす!


ティファーラ:あ、ねえねえ。さっきから言ってるけど、お金とかは?


ドリル:うん。装備買ってないけど?


マリリン:私もー。


GM:ああ。お金ね。お金。そういうのはいいの(ニヤリ)。


ヒューマ:え? いや、良くないだろ? ……もしかして魔法の武器とかもらえんの?


GM:(薄く笑う)


ドリル:もしかして遊んじゃってお金がないとか?


GM:(さらに薄く笑う)


一同:………。


GM:さ、いいですか? 君たちはさっきのような自己紹介をしたところだ。君たちは全員駆け出しの冒険者だ。


ヒューマ:(ティファーラに)良かったなー。エルフだからって100歳とか500歳の冒険者にしなくて。(笑)


ティファーラ:良かった(笑)。


GM:君たちは「カシュカーン」という町にある冒険者の店……狂えるルーンフォークがやっている「マッドヘッドの店」で……。


ドリル:マッドヘッド?


GM:そう。頭が外れる。こうグリッと首を回すと。ケーブルがついてるけど。


ティファーラ:ルーンフォークだからね。


GM:まあ、いろいろなタイプがいますけどね。それはさておき。君たちはマッドヘッドの誘いに乗って、初めての冒険をしたわけだ。


ティファーラ:ん?


ヒューマ:冒険をした?


GM:そう。それが人生最大の失敗だった。


ヒューマ:つまり、経験点がもらえるということ?


GM:いや。君たちはその冒険の代償を、今まさに払っている最中なんだが。


マリリン:どういうこと?


GM:君たちは全員、下着姿にひんむかれて直立不動で立たされて、先ほどしていたような自己紹介をしていたわけだ。


一同:えーーー!?


マリリン:「マリリンでーーーす☆」みたいな自己紹介だったけど(笑)。


ヒューマ:「ヒューマ! ニンゲン・ファイター・オトコでーす!」(笑)


GM:だったねー(笑)。そして君たちの目の前には何体もの蛮族がズラリと並んでいる。


マリリン:えーーー……。


ドリル:何体も……。


ティファーラ:蛮族って?


GM:ま、簡単に言うとモンスターのことだね。


一同:………。


GM:君たちを値踏みしていますが。


ヒューマ:もしかして「奴隷スタート」ってヤツ?


GM:もしかしなくても。


マリリン:そのモンスター……蛮族ってどのくらいの地位なの? 奴隷の取引しているくらいなんだよね?


GM:はい。その段階で……セージのある人は振ってもらおうか。ない人は平目で。目標値は11。




 突然の奴隷スタート!

 そりゃ奴隷ならお金も装備もいらないね! 納得だよ! クソ!


 一同そんな気持ちで、記念すべきファースト判定ダイスを振らせて頂く。




GM:どう? セージのある人は「セージ技能」と「知力ボーナス」を足せるけど。成功した人は……ティファーラとマリリンか。では2人はわかる。ここは……君たちが売られて来た場所は……! 悪名高き「霧の街」!


ティファーラ:……霧の街?


GM:そう。蛮族によって支配され、人間は単に商品として扱われる。生きて出られた者はいないという街。




 そう言いつつ、GMがアタッシュケースの中から取りだした書物のタイトルは……

 「ミストキャッスル」

 ……そう大きく書かれていた。

 そして、表紙には緑色の目をした怪しげな青年風の男のイラストまである始末。




ヒューマ:不吉すぎて死の予感しかしないけど(笑)。


GM:だって、だって、SNEの公式だからぁー。仕方ないからぁー。


ティファーラ:ねえ、そこには「装備がすべてない」って書いてあるの?


GM:うん。「下着姿」というのは書いてないけどね。ないと困るでしょ? 下着。


ティファーラ:う、うん……。


GM:まあ、そこは俺の優しさってヤツ?




 下着を着せてあげたくらいで恩着せがましいのもどうかと。




ヒューマ:こんなことなら「ニンゲン・グラップラー・オトコ」にしておけば良かったー……。装備とかいらないし。


GM:で。向こうの方にズラリと並んでいる蛮族の方々が君たちの目に入るけれども、ピンからキリまでって感じだね。……ああ、そう言えば、先ほど君たちと一緒に連れてこられた貧相なモブの人たちが、「食肉用」として売られて行きましたけど。


一同:………。


GM:向こうにいたコボルドのコック長が喜んで買っていきましたよ。


ティファーラ:えーーー……食べるのぉー……。


マリリン:人間が食べられちゃうの!? コワイよぉーーー……。


GM:特にコボルドのコックは、ソースに凝るそうですから。他のところを見ると、ミノタウロスとかオーガといった強力な蛮族たちもいて、色々な目的のために来ているようですけど。


ヒューマ:どんな目的なんだろうね。愛玩用とか。


GM:もちろん、見栄えが良ければ、食用兼愛玩用という手もありますよね。


ヒューマ:ドワーフの女の子とか愛玩用として殺されずにすみそうだけど。


マリリン:えー!?


ヒューマ:でもエルフは食用だね。サラダだから。


ティファーラ:ん?




 かの「ルーンクエスト」という名作TRPGにおいては、「ダークトロールの食事メニュー」として「ウッドエルフのサラダ」が紹介されていたのだ。

 初めて読んだ時は、マジで衝撃でしたよ!?

 



GM:そんな感じで君たちの周りでオークションが始まっていきます。君たちは「冒険者パーティ」として「4人まとめていくら」という感じで売られていくようです。


ヒューマ:ん!? もともと4人でパーティを組んでたの?


GM:そうだよ。あ、でも違ってもいいよ。


ヒューマ:じゃあ、それぞれが別々にここに連れて来られて、ここでパーティを組むことになった方が面白いかなー。つまり、別々にマッドヘッドの仕事を依頼されて、ここに来た。的な。


GM:ああ、送り込んだ冒険者が失敗する度に新しい冒険者を差し向け、次々と捕まっていったという。


ヒューマ:そうそう。


ティファーラ:マッドヘッド最低かよ!?(笑)


GM:そして、ついにそんな君たちに値段がつくときが来るんだよ。


ヒューマ:そうは言ってもさー。あんまり安いとムカつく事実。


マリリン:そう言えば、私たちって何で捕まったの? 何やったの?


GM:はい。君たちは、カシュカーンの街で、それぞれがマッドヘッドから「霧の街の周りを調べてこい」と言われて、この霧の街の周りをうろついていたら捕まったと。


ヒューマ:マッドヘッドがいけないんじゃん。


ドリル:うん。


GM:ああ、でもその責任を取るのは君たちだから。


一同:………。


GM:お……そんな君たちの値段がだんだんとつり上がっていくよ? おお、君たちの鍛えられた体と心の値段は高いようですね。


ドリル:まだ冒険者レベル2だけどね。


ヒューマ:うーむ。誰が1番値段が高いのかな?


マリリン:ねえ、この状況でそれって関係あるの?(笑)


ヒューマ:や、でもそれは知りたいとこじゃん、やっぱり。


ティファーラ:「4人まとめて」って言われてたじゃん。


ヒューマ:そっかー。


GM:で、君たちの値段が跳ね上がっていくんだけど、値段を釣り上げているのは、それぞれ特徴がある3人の蛮族だね。


ティファーラ:カネモチ蛮族か。


GM:1人目はドワーフの男。


マリリン:え? ドワーフだけど蛮族なの!?


GM:うん。蛮族と言っても、ミノタウロスとかオーガとかだけじゃないよ。「蛮族側」についている人間やドワーフも「蛮族」だよ。このドワーフの男は……年齢はよくわかりませんが、長い髭にやたらと煌(きら)びやかな宝石とか編み込んでいますね。


ティファーラ:宝石……。


GM:で2人目は、あまりにも黒すぎて、青みがかって見えるくらいの黒い毛並みをしたタビットだね。


ヒューマ:タビット!?


GM:そう。ただし、君たちが見たことがあるような、可愛らしくおどけた様子は全くない。そして恐ろしいことに、この場にある松明の火がチラチラと揺れる度にタビットの後ろの影が異形のものに変わるんだが。


ドリル:どういうこと?


GM:影の中に「何か」を飼っているんじゃないでしょうか。


マリリン:こわ……。


ヒューマ:何だよ!? タビットにすれば良かったよ!? タビットだってカッコ良くできるんじゃないか。あの挿絵から想像できないよ。「ボク、タビット! キュ? キュキュ? ゆーらゆーら……。1万8000ガメル!」


ティファーラ:カッコイイの? それ(笑)。


GM:では3人目。最後の1人はリルドラケンだね。その鱗は漆の様に黒く、傷だらけ。いかにも百戦錬磨の風情があるね。


ティファーラ:まっ黒で傷ばっかり……と(メモメモ)。


ドリル:ねえ、それちょっとスゴく弱そうなんだけど(笑)。


ヒューマ:そのリルドラケンに比べると、ウチのリルドラケンってどうなんですかね?


ティファーラ:傷は少なめ。


一同:(笑)


ヒューマ:鱗の色からして違いそうだけど。輝き具合とか。


ティファーラ:鱗はまっ黒。


ヒューマ:おまえ、バカにしてんだろ!(笑)


GM:ディスり方がスゴい(笑)。ところで、君たちは蛮族語が理解できるかね?


ティファーラ:あー! 私取っておけば良かったなー……!


ヒューマ:え!? 取ってないの? なんで!? こういう展開になるってなんで予想してなかったの!?


ティファーラ:するかぁぁぁーーー!


GM:みんな蛮族語でしか話していないから彼らが何を話しているのかわからない。……さあ、誰が君たちを身請けしたのか……誰か1人ダイスを振りたまえ。


ヒューマ:ねえ、これって誰がいいの? どれがマシなの?


ティファーラ:タビットはヤバそう!


マリリン:うん。


ティファーラ:でもリルドラケンもヤバそう。ドワーフもヤバそう。結局どれもヤバそう。


マリリン:なんだそりゃ(笑)。


ヒューマ:身請けされないっていう方法もあんの? それってそのまま退場って感じ? つまりこの世界から。


GM:そうだねー。会場の入り口辺りにグラグラと煮えたぎっている鍋があるから、その中に入れられるんじゃないかな(笑)。


ドリル:おいしくなーれ。おいしくなーれ。


ティファーラ:おいしくないよ!


GM:さあ、誰が振るんだ? 確率は3分の1だよ。


一同:(ヒューマを見る)


ヒューマ:え? 俺?


マリリン:ホラ、ヒューマが振れば文句言う人がいないよ?


ティファーラ:確かに、一番文句言うのはヒューマだもんね。ドワーフがいいよ、お金だけしか興味なさそうだし。


ヒューマ:そうか? えーと……ダイスは1個でいいの? ……(コロコロ)……3! ってことは……!?


一同:タビットだーーー!(嘆)


GM:そうすると、漆黒のタビットが君たちを身請けしたようで、手に持っている捻じ曲がった杖を君たちに向けます。


ティファーラ:コワい、タビット。


ドリル:タビット、やだ。


GM:で。タビットは壇上に上がって来て、君たちの前に来て、あれこれと指図をします。えーと、その時に……(コロコロ)……ヒューマ。


ヒューマ:えー……。


GM:君はよろけてしまって、タビットにぶつかりそうになるんですが……その瞬間、見えない何かが君のみぞおちにもの凄いボディブローを入れます。


ティファーラ:影じゃん、影。


ヒューマ:「グフッ……!」ってイジメじゃん。これ。タビットからの。立場を利用した。まさにパワーハラスメント!!


GM:違うでしょ!? 君がよろけたのがいけないんでしょ!?


ヒューマ:何でだよー。俺は何にもしていないのに、GMが「あ、君はよろけたよ」とか勝手に決めたんじゃん。それで「みぞおちにボディブローを喰らったよ! ものスゴいダメージだよ?」とかじゃん!


一同:(笑)。


GM:で、「何点?」って聞かないの?


ヒューマ:え!? 聞かないよ! だって聞いたら(シートに)書かなきゃいけなくなっちゃうじゃん!(笑)


一同:(笑)。


ヒューマ:というわけで、何事もなかったかのように脂汗を浮かべつつ……耐える。


GM:そうすると、この奴隷市場を出される時に全員首輪を付けられます。


マリリン:えーーー……。


ティファーラ:やだー……。


ドリル:わんわん!(喜)


ヒューマ:なんで、お前だけ喜んでんだよ!?(笑)


GM:では、持ち物の欄に「奴隷の首輪」と書きたまえ。


マリリン&ティファーラ:いぃーらぁーなぁーいぃーーー!


ヒューマ:ナメてんのか!?(笑)


GM:ほら、みんなお待ちかねの最初の装備品だよ? あ、その前に「下着」って書いてもいいよ?


ドリル:バカにしてる(笑)。


ヒューマ:もしかして、これって「装飾品」の欄に書かなきゃいけないの?


GM:はい、そのとおりです。「首」のスロットを「奴隷の首輪」で埋めて下さい(喜)。で、君たちはそのまま奴隷市場から出されて街中を歩かされます。


ティファーラ:てくてく。


GM:タビットの方は、燃えるような赤い目をした馬に引かせた馬車に乗って行きます。


ヒューマ:いいなー。カネ持ちは。


GM:言う?


ヒューマ:言わねーよ! また腹殴られるわ!


GM:不思議なことに手錠も足枷も外してもらえたよ?


ヒューマ:首輪があるからだろ!? 何が不思議なんだよ!? 白々しいんだよ!(笑)


GM:ホラ、手錠も足枷も外れたんだよ? ダッシュで逃げればいいんだよ?


ティファーラ:絶対ヤバイ、絶対ヤバイ。


GM:なんで? チャンスじゃん? 「やった! 俺は自由だぁーーー!!」って走り去るヤツとかいないの?




 完全に「爆発四散!」の流れである。




ヒューマ:(ドリルに)お前、やればー? 作り直せるよ、キャラ。


ドリル:うーん、作り直したいけど……いいや(笑)。


GM:では、おとなしく馬車について走って行くということで。街並みは大半が暗い上に霧に覆われていて、街の様子はよく分かりません。ただ、この街はもの凄く頑丈な外壁に覆われていることはわかります。


ヒューマ:とりあえず、明るい話ではないということはわかった。


マリリン:(笑)。


ヒューマ:正直、俺が想像していたソードワールドとは大分違うこともハッキリとわかった。


GM:え!? 何でわかるの? 戦士の勘?


ヒューマ:うん。HFOの勘。


GM:(笑)。じゃあ、君たちはヘトヘトになって走り回りながら……。


ティファーラ:え? どういうこと? 馬についていくの? 走って?


GM:うん。ヘトヘトになりながら。


ティファーラ:あり得ないんだけどー(笑)。


GM:でも、みんなついて来られるの?


ヒューマ:ま、俺はHFOだから余裕だけど。(ティファーラに)お前、大丈夫なん?


ティファーラ:頑張る、めっちゃ頑張る。


マリリン:頑張るよー。


ドリル:ま、余裕っしょ。


GM:じゃあ、そろそろ生命力抵抗ロール、振ってもらおうかなー?(笑)


ティファーラ:え? 私は敏捷じゃないの? ナンデ、ナンデ? おかしいって、マジで!


GM:まあ、君たちに死なれても困るから、生命力抵抗の目標値はたったの9だよ。


ヒューマ:え? 失敗したら死ぬっていうこと?(笑)


ティファーラ:マジで余計だわ、その一言!




 そんな感じで最初の「失敗=死」の生命力抵抗ロールは、ドリル以外の3人が成功。

 誰も(というかティファーラが)死なずに済んだ(代わりにドリルは死にそうになった)。




GM:では、君たちが馬車を追って小路を曲がると、そこは広場になっていて、そこには昔のサーカスのように3つの天幕が並んでいます。赤、黒、青。その天幕の前へ行くと馬車が止まって、中から降りてきたタビットが君たちに話しかけてきます。もちろん交易語で。


ティファーラ:なんで蛮族になったんだろうね。


マリリン:ホントだね。楽しいんじゃない? 蛮族。


ティファーラ:黒いし。


ヒューマ:おい、お前の喋っていることが全部ダダ漏れになっているから気をつけろよ?(笑)


ティファーラ:え? 喋ってないよ? 考えてただけだし。


ドリル:でも、考えてただけでも声が漏れちゃう時があるからね。




 とりあえず、ドリルの人は、今後、妄想とかするのをやめた方がいい。マジで。




GM:タビットは「その首輪が気になるかな?」と話しかけてきます。


ヒューマ:「当然、気になりますけど?」


GM:「しかしその首輪を付けているから、君たちは安全なのかもしれないよ?」と言ってきます。


ヒューマ:あー、所有権を示すのかー。


GM:「その首輪を付けている限り、このボク、ザバールの奴隷ということがハッキリする。おいおいわかることだろうが、この霧の街では、すべての者が階層付けされている。奴隷の首輪すら付けていない者は、どのように扱ってもいい。彼らは『浮民』と呼ばれている。そして、その首輪を付けている者は『奴隷』。奴隷を無闇に殺したりすれば、持ち主の悪意を買うことになるだろうし、場合によっては賠償金を払わなくてはならない。……その首輪を外したいかね?」


ティファーラ:「いや?」


GM:奴隷生活に順応が早すぎる!(笑) 


ヒューマ:そうだよ! エルフの誇りはないのか!? 人間ならともかく。


GM:逃げを打ったな(笑)。


ヒューマ:「しかし、それは選択の余地がないのでは……」と。


GM:そう言うと、ザバールは、君たちよりもかなり低い位置にある肩をプルプルと震わせて……。


ヒューマ:笑いを堪えてんのか。


GM:「この霧の街ではその首輪なしでは生きてはいけないだろう。ただ、私の役に立ってくれれば、首輪を外した上で、この城壁の外に出してやってもいい」と言います。


ティファーラ:「やったー!(喜)」


ヒューマ:「やったー!(喜)」じゃねーよ!(笑) このエルフ、どうなんだよ!?


一同:(笑)。


マリリン:そんなんだから、こんなところに売られてくるんだよ!(笑)


ティファーラ:じゃあ、それ以外に何て言えばいいんだよー。


マリリン:そうだね。「わぁーーーい! 頑張るぞぉーーー!」


ティファーラ:「ティファーラ、頑張るぞぉー!」


GM:では、その返事を聞いて、ザバールは「では、ボクの期待に応えてくれ給え」と。


マリリン&ティファーラ:「はーーーい!」


ヒューマ:しかし、何て言うか、軽いね。女の人たち。


ティファーラ:だってムリでしょ。逃げるのとか。


マリリン:現実的なんだよ。


ヒューマ:いや、でも本当に役に立つとわかったら、手放すハズないんだけどね……。


ティファーラ:イヤ、タブン、マモル。ヤクソク。ワカル。


ドリル:何でカタコト?


GM/ザバール:「それでは諸君。黒の天幕に入り給え」


一同:「はーい(ぞろぞろ)」


GM:そうすると、そこには、美しい容姿の、全く同じ顔をした美しい2人の青年がいます。ルーンフォークっぽいですね。2人が深々と一礼をすると、ザバールは「この者たちに武器と防具を出してやれ」と言います。


一同:「やったーーー!(歓喜)」


GM:ではルールブックを取り出して……。


ティファーラ:やったーーー!


ヒューマ:ということは……値段とかまったく気にせずに選べるということか!


ドリル:マジで!?


マリリン:わーーーい!


GM:はいはい、1人当たり1200ガメルまでの武器・防具とアイテムを選んでいいよ。


ヒューマ:普通の金額だったー(笑)。


GM:ああ、残った分は別にお金で渡したりしないからね。念のため。


ティファーラ:え? 1200ガメルって書いちゃったよー!?


GM:ダメです!(笑)


ドリル:じゃあ、1200ガメルきっちり使わないとだね。


ヒューマ:武器・防具以外の道具もいいの?


GM:いいよ。


マリリン:やったぁ! お買い物だー!


ティファーラ:やったー!


ヒューマ:うーん、俺は必要筋力ギリギリのバスタードソードかなー。片手でも両手でも使えるのが便利そうだし。うわ、高ッッッ!


マリリン:私はグレートアックスと、いい防具かなー。あ、聖印も買えるの? ル=ロウドだけど。


GM:材料が買える、ということでいいですよ。ただ、この蛮族の街では見えないところに身につけた方がいいですよ。


マリリン:そっかー。


ドリル:僕は弓だから……。矢筒は3つくらいいるかな?


ヒューマ:どう考えても3つはいらないんじゃないかな?


ティファーラ:私も魔法の発動体とドレスとぬいぐるみを。


ドリル:ドレス!?


マリリン:ぬいぐるみ!?


ヒューマ:ぬいぐるみとかいらんわ! 奴隷がぬいぐるみとか、ちゃんちゃらおかしいわ!


ティファーラ:ザバールさんが買ってくれたの!


ドリル:なんでだよ!?


GM:ああ、ザバールさんが忠告してくれるよ。「君たち、1日に1回は食事を取らないと、満足に行動できなくなるよ」……具体的には、1日1回食事をしないと行動にペナルティを受けます。


ヒューマ:メシ、買わないとー! あ、「執事服」ってある。90ガメルだけど。これ買って着れば「ザバール様の奴隷」ということがわかりやすいかも! 男は「執事服」、女は「メイド服」がいるんだよ!


GM:ユニフォームだから? 奴隷根性丸出し!(笑)


ヒューマ:でも高いよ! そこはサービスしてよ! 我々の忠誠心を示すためにも!


GM:ダメに決まってんだろ!?




 真っ黒のウサギ……じゃなかった漆黒のタビット、ザバール様から頂いたお小遣いで買い物を始める4人。


 まず最初に必要なのは……やっぱりユニフォームですよね。パーティとしての団結力も上がるし。


 しかし、さっきまで全員が奴隷になることに対して抵抗感を示していたはずなのに、早くも順応している模様。ザバール様、バンザイ!

 中には鼻歌交じりで選び出す強者(ティファーラ)も。


 ……いやー、お金ってコワイですね。


 でも何はともあれ、「奴隷の首輪」以外のアイテムゲット! やったね!

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