第6話■男性部下からの呼び出し

呼び出された小さな会議室の椅子に高杉が座り、私は床に敷かれた座布団の上に座るように言われた。

「私を呼び出しといて椅子も無いわけ?」こんな仕打ちは嫌というほど受けてきていて、慣れてふるまいをしてきた頃だったが、年下部下からのこの仕打ちは屈辱的すぎた。

「まぁまぁ、落ち着いてくださいよ。ほら座布団敷いてあげてるんだからいいじゃないですか。ねぇ?」

「それで、話って何?」色々と考えたいことはあったが、なるべく何も考えないようにして彼の足元に座った。

「それがですね。先輩これからコラコーカ社の人とオンラインミーティングでしたよね?それ出なくていいですから。」

「えっどういうこと?」コラコーカ社との取引は数か月前からスタートしていて今日は重要な決断を差し迫る日で、今日が終われはこれまで抱えてきたプロジェクトもひと段落といったところだったが、急な中止の要請に驚きを隠せず。

「まぁまぁ、これ見てください。」見せられたのは先日会議で行われていた議事録だった。会議もいつの間にか男性だけで行われるようになっていた為しらなかったが、今日から私は高杉の秘書ということになっている。

しかも全ての決定権を高杉が持っているような書き方でだ。

「これって…どういうことよ…」

「まー、先輩は僕の言うこと聞いててもらえれば。って感じです。だからコラコーカとの最終面談は僕に任せてください。あと僕の言うことは絶対ですので、今はこの場で下の下着を脱いでください」

「へ、、え、、待ってよ。あのプロジェクトは私がずっと…。なによそれ、、えっ、、できるわけないでしょっ・・」私は頭の中がすっかり混乱していた。何が正しいのか、果たして正しさとは何なのか、誰のためなのかを。

「あー、なるほど、わかりました。無理なものは無理ですもんね、では社長に報告だけしときますね。」

「っ!?待って、社長には…脱ぐ、、脱ぎます。。脱ぎますから…」そういうと私はこぼれそうな涙を必死にこらえながら、自らスカートの内側から腰に手をあててパンティーストッキングと下着をスカートの中から下ろした。

「やればできるじゃないですか、ちゃんと先輩が僕に敬意を示してくれてるかの確認なんで、自分から下着の内側向けて笑顔!」そう言いながらスマホを向けられた。

この期におよんで、自分で下着を向けるように、しかも内側を曝せと言われても何も抵抗する気力もなくなっていた。情けなくもおびえたように震えた声で

「はっ、はぃ」と小さくつぶやき、自ら下着を広げ、無理やり笑顔を作ったとき頬から一滴涙をこぼしてしまった。

さっきまで部下だった後輩の高杉君は、これからは私の上司となった。

今の彼は私を無様にさせることなんて簡単にできるという立場を私に教育するため、椅子の上から床に座らせた私を見下ろすようなかたちでスマホをこちらに向けていた。

私はほんの1分前まで着用していた下着の内側を彼に向けて、作り笑顔を浮かべることだけがこの世界で生きていく賢い選択だと知ったとき。

自分の中に眠いっていた何かが目覚めた気がした。

「これでいいんですよ。元先輩♪」

決して私の意志でやってるわけではない。求められていることをしてるだけ。

だから、これでいいんだ…。

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