第三話 コブラ

佐賀、祐徳稲荷神社境内。

「きゃあ、何するのぉ」

怪しい人物が巫女を幽閉した。どうやら神社、特に稲荷神社に対して怨念を抱いているらしい。

「そのうちわかる」

空狐と名乗る怨霊は、ただそう告げた。


***


「何!? 妹がさらわれた!!」

富士演習場でカレーライスをほおばっていた菊菜あさひは椅子から立ち上がって叫んだ。

「三佐!」

「落ち着け。政府からの要請を待つんだ」

上官は厳しい口調で言った。

自衛隊員は身内に不幸があっても国家を守る仕事を優先しなければならない。さらに富士演習場で訓練を行うあさひは佐賀の管区とは所属も違っていた。

上官は眉間に皺を寄せながら最善の方法はないかと探った。あきらかに国家の危機である。ここで自衛隊員が出動しないでどうするのかと、本部と掛け合ってコブラを輸送する手はずを整えるよう命を下した。

「三佐、恩に着ます」

あさひは最敬礼で答えた。

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