ぬいぐるみのマシェラ
桜川 ゆうか
1
――カランカラーン!
高らかにベルの音が鳴り
「はい、これが特賞のマシェラだよ!」
売り場を担当する
「この子は、魔法のぬいぐるみだからね。上手に使うんだよ」
パーシルは、ここでは縁日を
私は持ち主になる女の子を見る。
「何、コレ。本当にコレが特賞なの!?」
女の子は、
私は、パーシルによれば、
「あっちのバッグのほうが、よさそうじゃない?」
私はこの発言に、これはおめでたい『特賞』なんかではないと思った。むしろ、これは不幸の『特賞』だ。おみくじで言うと、『
「そう? かわいいと思うけどなぁ。私だったら、ランドセルにつけちゃうかも」
その子の言うとおり、私をランドセルにつけようと思えば、つけられるだろう。私は、そんな手の平サイズのぬいぐるみだから。
私を引き当てた女の子は、家に持ち帰った私をベッドサイドの棚の上に置いた。その部屋は散らかっていて、
机の下、イスの
部屋は
女の子は、勉強机に
ダメだ、こりゃ。これほど乱れた生活をしていて、おまけに先の
私はさらに部屋を見ていく。ドアのところにフックが取りつけられ、
この子の名前は……橋本亜梨沙。アリサ、か。あまり不幸な発言をしないことを、
「はぁー……」
アリサはゆっくりとマンガを置いた。
「明日は学校かぁ……そういえば、
いけない。この言葉を私が聞いてしまった以上、アリサはその白石くんの隣になって、バカにされることになる。
案の定、その
「なんで、あんなのと並ばないといけないわけ? ホント、
アリサはだれが、とは言わなかった。こういう
アリサは、例の通りのひどい
どんなに
「うぅ……」
ゲーム機を顔から
アリサはゆっくりと立ち上がると、そのままベッドのほうへ
そのまま、お母さんに呼ばれるまで、アリサはずっとベッドに横になり、休んでいた。
「アリサ、ご飯よ! 少しは手伝いなさいよ!」
「うぅ……」
ゆっくりと、アリサは身体を起こす。ゆったりとした動きで、
少しして、アリサは、お母さんと
「
「うん」
そのままベッドに倒れ
「はぁー……なんでこんな日に
夕食の話だろう。チーズハンバーグを食べられたなら、こんな
アリサは泣きそうな顔をしていた。
ピピピッと音が鳴り、アリサが脇に
「え、38度4
38度の発熱では、
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