第67話「セシリーのスキル」
指輪を見たイチコとロメロ、そして骸骨兵士は顔色を変えた。
「ま、まさか、その指輪の作り方って……」
イチコは恐々と指輪に向かって指をさした。
「ふむ、理解が早くて助かる。そうだ。この指輪の魔道具はモンスターや魔獣の魂をワタシが開発した特殊な製法で閉じ込めることで使うことが出来る」
「それなら、あんたを殺して、取り戻すだけよっ!」
「ふんっ、やはり低能よ。人の話は最期まで聞けと習わなかったか? 我がシルバーリッター家は商人の家系だ。それも武器や防具、アイテムといったな。そこに魔道具という新たなラインナップが加わるのだよ? 顧客へのセーフティを万全にしなくてどうします? この指輪は持ち主が外すと数時間で自壊、また持ち主が死んでも自壊するように出来ている。つまり、何が言いたいかというと――」
「あんたを殺したら、セシリーは助けられない……」
「その通り。つまり、キミたちがワタシを殺すことは不可能なのだよ」
イチコは唇を噛み、拳を強くギリギリと固める。
「――でよ」
怒りに打ち震えながらなんとか言葉を振り絞る。
「ん~? 聞こえんな。まともな会話も出来ん低能なら、せめて声くらい大きくしたらどうだ?」
「なんでよ。なんでセシリーなのよっ!! あの娘は普通のレイスでしょ!!」
その言葉に、シルバーリッターはひどく面倒くさそうに、頭を抱える。
「さっきも言っただろっ! これだから、低能はエレガントさに欠けるっ!!」
シルバーリッターは整った髪をガシガシと掻きながら、苛立ちを露わにする。
そんな様子を見かね、ロメロが口を挟む。
「セシリーさんをレイスの王、ロードであると言っていましたが、それはいったいどんな関係があるんですか?」
「ふぅ~、ふぅ~、本当に会話に値するのは、貴様しかいないようだな。そうだ。そうだよ。彼女はレイスの王なのだ。ようやく話を進められる。レイスの王には、歴代様々な者がいたが、その全てが持つスキルがある。それが『スキル:魂の統治者』だ。このスキルはあらゆる
そこの奇怪な服をしたレイスよ。お前にも心当たりはないか? なぜか妙に好感を持ったりしなかったか。触れないはずのレイスの体に触れて来たことは?」
確かにシルバーリッターの言う通り、イチコには思い当たる節はあった。
巨乳を悪と断じる自分が、巨乳のセシリーに好感を持ったり、ゴールドバーグ家を襲撃したサラマンダー女は絶対にロメロに会わせたくないと思ったが、セシリーのことは気にならなかった。
でも、これだけは断言できることが1つあった。
「確かに、確かにそうね。思い当たることはあるわ。でもね。アタシがセシリーを友達だと思ったことは、そんなスキルなんて関係ないわっ!! この気持ちはアタシだけのモノよっ!」
「うるさいぞ、ただのレイスがっ! お前の感情などどうでも良いのだ。なぁ、魔王四天王のロメロよ。貴様なら、ワタシの言いたかった事がわかるだろう?」
ロメロは静かに頷くと、
「指輪の制御ですね……、残り2つの」
シルバーリッターの反対の手に光る2つの指輪を見つめた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます