第5話 スクラヴォス・ガウラスの手記 2
昔、中東で軍人をしていた時私はあまりにも無知だった。
兄のためになると信じ、別の部隊で戦っていた際も何故兄と同じ部隊ではないのか、何故離されたのか不満で、会えて話が出来るのは作戦終了後の時か家にいる時だけだった。
兄ヴァシリオスの語る『不平等なる世界を是正する』という理想の夢に焦がれて、兄と同じ夢に向かって理不尽なまでに人権を奪われた戦争を勝ち抜いてきた。
だが、私は別々の部隊にされたのは、私自身がヴァシリオスが反乱を起こさせないための人質である事に全く気付いてなかったのだ。
いつもそうだった、兄は誰よりも優しくそして信念を持つ誰よりも気高い、まさに王(ヴァシリオス)であった。
私はただ、兄に焦がれて兄のために何度も戦争を勝ち抜き、全て兄のためになると信じ抜いていた王に焦がれ影より支える奴隷(スクラヴォス)であった。
なのに、兄の辛い時、ナタリアが死んだ時、兄のいた部隊が壊滅、そして兄が去って UGNに保護された時、ずっと後悔し続けていた。
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