Iの夢(5)
信也は、作戦のことより、Iが自分の体を自分で作ることに、気かがりだった。
そんな、新しいハード完成間違のある日、Iが突然、信也に星が見たいと言い出し。ちょうど、明日は日曜日、気分転換も兼ねてドライブに出かけることに。Iは工藤も誘い、社長のご厚意で会社が経営している、リゾートホテルに1泊まることになり、海の見える高台にあるという。
車で2時間かけ、信也たちは目的地に着き、車内の時計は、午後4時を過ぎ。チェックインして部屋は別々で隣同しで、海側の部屋が用意され。3月を過ぎているのに寒の戻りなのか少し肌寒い。確かに、窓から見る景色は抜群だが。信也は、海を見ていると、Iとドライブに行ったことを思いだしていた。
一方、Iたちが泊まる隣の部屋では、テレビ画面に映るIは、天気のことを気にしている。
「希、今日の夜の天気は快晴だって、でも、この気温じゃ、外、寒いよね?」
「大丈夫、羽織るもの準備しといたから」
「それなら、いいけど」
信也たちは、夕食をすませると、Iが工藤の部屋から星を見たいと言い出し。信也は、工藤の部屋に行き、部屋の中に入ると。工藤が何か気にしている。
「I、本当にいいの? ここら星を見るって!? このホテルの下の砂浜でも」
「ここでいいの、外寒いでしょう!? 風ひくといけないし、そうだ、希、修学旅行って、まくら投げとかするの?」
「小学校の時はやったけど……」
すると、信也は何かを悟ったのか。
「I、なんでそんなことを聞くの?」
「ちょっとね、そうだ、修学旅行と言ったら花札でしょう?」
「花札!? しない、しない、トランプの間違い、木村さん、花札する?」
「しないけど、小学校の時にお父さんと一緒に遊んだことはあるけど……」
Iは、花札をやりたい言い出し。
「花札しない!? まだ時間あるし」
「どうやってするの?」
すると、テレビに映しだされたのは、3D化した信也たち。
「じゃーん、いいでしょう!? このゲーム私が作ったの」
1人が手持ち札の番号を読み上げ、後ろを向き、2たり目が同じ様にする。3人での花札が始まり、信也と工藤もゲームに夢中になっていた。
信也は、テーブルゲームは得意なので、圧勝の7連勝するが、Iが不機嫌になり。
「ねーえ、なんでそんなに強いのよ」
「まだ、まだ、ひよっこだな」
「私は、ひよこじゃありません」
「なんで負けたのかヒントをやろう、将棋を用意できるか?」
「できるけど、これでいい?」
「I、から先にどうぞ」
「わかった」
しかし、Iの不機嫌は増すばかり。
「えっ!? なんでそこに打つのよ……!? また負けた、ねぇ、もう一回いい?」
すると、Iの顔色が変わり、何かに気づき逆転勝ち、もの凄く喜んでいる。
「私、わかったの、セオリー通りにはいかないってこと。いくら先読み見しても意外な手も予想しておかないといけないってことでしょう?」
「正解、でも経験にもよるけど、相手の手の内を読みすぎるのも考えものだけどな」
Iは、この時の話があんなことに役に立つとは思っていなかった。
工藤は、窓の外を見ると、星が綺麗、Iも窓を見ると。
「本当、綺麗だね、信也ちゃん、ここで私に言うことがあるでしょう!? ほら、君の方が綺麗だよって」
「おい、おい、わざわざそれを言わすために来たんじゃないだろう?」
「なーんだ、面白くないの」
「で、話があるんだろ!?」
「自分でもわかんないの、急に3人で話がしたくなって、もちろん会社でも家でも話しできるけど」
そのことに、工藤がうなずき。
「わかるなー、その気持ち、私もあるし」
Iは、急に真剣な表情を見せると。
「私ね、今幸せなの、信ちゃんと希と研究所のみんな、希のご両親も、たくさんの人に出会えて、でもね100年後の未来って、どうなんだろうって、思うの、私はこのままなのかなって、わかってる。だから、1日1日を前見て生きることに決めたの、それでね、恥ずかしいんだけど、私、医者になろうと思うの」
思っても見ないことを聞かされ、信也と工藤は驚き、立ち尽くし。Iは、その想いが止まらず。
「研究所で働いていると、人のために、自分のためにも、医者になろうと思って、そしたら信ちゃんも希も150歳まで生きるかもしれないし。私みたいに人工知能持った人が、人間じゃないけど、病気とか治してあげたいなって思って、ダメかな?」
Iの想いに信也は、即答し。
「いいに決まってるだろう!? さすがIだな、驚いたよ」
「でしょう!? 惚れ直した?」
「ちょっとだけ、ちょっとだけだからな」
「えー、ちょっとだけ?」
工藤は、差の光景に何も言えず。
「なんか、やっぱり、Iにはかなわないな、でも、私も頑張らないと」
「それって」
「違う違う、Iったら」
「えー、違うの!?」
また、いつもの押し問答が始まり。ここ数日で、Iに心境の変化があったようで。
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