Iの夢(4)

 翌朝、信也宅の玄関のチャイムが鳴り、玄関を開けると。研究社員数人と工藤も引っ越しの手伝いに来た。

 荷物はさほどなく、1時間くらいでトラックに積み終わり。信也は、引っ越しの手続き等を済ませ、工藤宅に行くと。部屋は2部屋分使わせてもらい、先日泊まった時の部屋と隣の部屋を借り、家賃はタダで使わせてもらうことになった。荷物の整理も終わり、スマホを見ると午前11時50分を過ぎ、昼食は2階で食べることに。


 信也は、2階のリビングに行くと、家族全員テーブルに着き。社長は、信也の部屋の片付け具合が気になり。

「信也君、片付けは終わったかね?」

「終わりました」

「そうか、今後のことで、みんなを集めてミーティング室で打ち合わせをするからそのつもりで」

「わかりました」

 食事が終わると、信也たちはミーティングルームへ行き、研究社員たちは、既に席に着き。信也も席に着くと、社長が真剣な表情で研究社員たちを見ている。

「打ち合わせを始める前に確認しておきたいことある。信也君の考えを聞いておきたい」


 信也は立ち上がり、考えを話し始めた。

 宗方准教授は、二度と戦闘用のシステムは作らないと約束した。あのシステムには問題があり、ネットシステムの暴走です。暴走が始まれば世界中のネット網を我がものにしょうとする。そうならないためにも、なんとしてでも事前に阻止しないとなりません。しかし、正直、複雑な気持ちです。

 6年前に人工知能が完成したとしても、Iのような人工知能はできていなかったかもしれない。皮肉なことに宗方准教授の企みに関わったことで。でも、人工知能に携わる人が1番やってはいけないこと。犯罪・戦争の手段として使うことは絶対にあってはならない。これを見逃すわけにはいきません。悪いことをした罪は償ってもらいます。信也の考えを聞き。社長は、あんなことがなくても信也の優れた能力だったらと言い。

 すると、テレビ画面に映るIが社長の言葉にうなずき。

「信ちゃんは気にしすぎるところがあるから、それに、もともと天才なんだから」

「そうだな、Iにそう言われると、なんてたって天才だからな」

「それ、自分で言う!?」

 みんな、笑いだし。工藤は、Iを見て呟き。

「なんか、Iにはかなわないな」

「えっ!? 希、なんか言った!?」

「なんでもない」

 Iは、またいつになく真剣な表情で社長に。

「社長、お伺いしたいことがあります」

「なんでしょう?」

「社長の交友関係で、警察の方はいらっしゃいますでしょうか?」

「1人いるが」

 それを知り、Iはある作戦を考え、それをみんなに話し。その作戦に社長が1番驚き。

「協力はできるが、いや、すごいな、そのアイディア」

 すると、工藤がIの考えになるほどねと思い。

「目には目を、ですね」

 信也は、その作戦に、確かにそうだが。

「……動揺させるには確かにいい、少し気が引けるけど、わかった、その作戦で行こう」


 みんなIの作戦に賛成した。

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